京都・鴨川生まれアユ遡上期待 魚道設置、産卵も初確認

2016年03月25日

京都・鴨川生まれアユ遡上期待 魚道設置、産卵も初確認

京都・鴨川生まれアユ遡上期待 魚道設置、産卵も初確認

アユの稚魚が大阪湾から各河川に上り始める4月を前に、京都市の市民団体が鴨川生まれのアユの遡上(そじょう)に期待を高めている。昨秋、天然アユのものとみられる卵を鴨川で初めて確認したからだ。魚道設置など河川環境の改善に取り組んできた同団体は「大都市の川で卵が見つかったのは画期的。自然のサイクルの回復は鴨川再生のシンボルになる」と遡上を待ち望んでいる。

 卵が見つかった場所は繁華街の四条大橋下流や、十条通に架かる陶化橋上流、桂川との合流点上流など5カ所。2011年から産卵調査を続けてきた市民団体「京の川の恵みを活(い)かす会」のメンバーが、昨年10月下旬から11月上旬にかけて確認した。

 アユはサケと違って必ずしも生まれた川に帰ってくるわけではない。そのため、他の川で生まれた天然魚が例年、鴨川の下流部まで上っていたが、堰(せき)や段差があり、上流には上れなかった。鴨川には釣り人向けに琵琶湖産アユが放流されているが、生態の違いから繁殖できないとされている。

 同団体は天然魚の回復を目指し、11年から仮設の魚道を堰や段差に取り付けてきた。15年は4カ所に設け、最下流の魚道での目視調査から約9800匹のアユが上ったと推定。最も上流では丸太町橋付近に設けた魚道を越えたことを確認した。今回見つかった卵は、これらの魚が成長して産んだものとみられる。

 魚道以外に産卵が成功した理由として同団体代表の竹門康弘・京都大防災研究所准教授は、夏場に雨が多く魚が高水温をしのいで産卵期の秋まで生き延びた▽近年の災害復旧工事で産卵に適した砂利が上流から流れてきた?などを挙げる。

 その上で「15年は好条件が重なった。継続的にアユが成育・産卵できるよう、川に瀬やふちを復活させたり、遡上を妨げている淀川下流の堰の運用を改善したりする必要がある」と話している。

■アユの一生

 秋に川の砂利に産み付けられた卵は約2週間でふ化し、流れに乗って海へ下る。餌となるプランクトンが豊富な海で冬を過ごした後、春から初夏にかけて川へ上り、石についた藻類を食べて成長。秋に川の下流部で産卵し、1年間の短い一生を終える。



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