京都 【文化庁・京都移転】「都が一部戻ってくる」京都 喜びの声

2016年03月23日

京都 【文化庁・京都移転】「都が一部戻ってくる」京都の誘致関係者らに喜びの声

京都 【文化庁・京都移転】「都が一部戻ってくる」京都の誘致関係者らに喜びの声

基本方針で文化庁の移転先と明記された京都。誘致に関わってきた関係者たちからは「良かったという思いと同時に身の引き締まる思い」などと喜びの声が相次いだ。明治期の東京に遷都されるまでは“日本の都”だったこともあり、「都の一部が戻ってくるという歴史的な出来事」という声もあがった。

 京都府の山田啓二知事は22日、「良かったという思いと同時に、これからやっていかなければならない協議・検討、さらに移転に向けての作業を考えると身の引き締まる思いだ」と語った。

 今回の決定について「来年が日本の中央集権体制を作った明治維新から150年。骨粗鬆(こつそしょう)症の地方に対し、メタボになりつつある東京という日本の構造を大きく変えることができる」と指摘した。

 京都市の門川大作市長も「文化で日本が元気になり、世界から尊敬を集める日本の発展のために、さらなる努力を傾けたい」と述べたうえで、「オール京都で日本の未来のために役割を果たす決意を新たにした」と語った。

 京都府や京都市などでつくる文化庁京都誘致協議会の顧問を務める茶道裏千家の千玄室前家元も「政府も地方創生の観点から思い切った英断をされ、たいへんうれしく思います」とするコメントを発表。「京都人ひとりひとりが何らかの文化に親しみ、文化を創造また伝承していくことを念願している」とした。

 京都商工会議所の立石義雄会頭(オムロン名誉会長)も「今回の快挙はかつての都の一部が戻ってくるという歴史的な出来事」とする談話を発表した。


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京都市長「悲願だった」 文化庁移転決定に喜び沸く

 政府機関の地方移転に関する基本方針が決まった22日、「移転先」に挙げられた自治体は喜びにわいた。

 文化庁の移転を10年以上要望してきた京都府と京都市。京都市役所の正面にはこの日、「文化力で日本を創生、世界に貢献」などと書かれた縦1・2メートル、横8・3メートルの看板が掲げられた。門川大作市長は「千年を超えて文化を創造してきた京都では、文化庁を京都に『戻したい』というのが悲願だった」と話した。

 京都府の山田啓二知事は記者団に「明治以来の日本の構造がいよいよここで大きく変わる」と喜んだ。
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歓喜の輪、京都に広がる 文化庁移転決定

政府が文化庁の京都移転を決めた22日、京都の関係者からは喜びや歓迎の声が相次いだ。一方で今後の課題を指摘する意見も上がった。

 京都府庁(京都市上京区)では午前8時すぎ、政府のまち・ひと・しごと創生本部事務局から、文化庁の京都移転決定を伝えるメールが府戦略企画課宛てに届いた。移転の規模や経費の地元負担などの詳細は今後の国との協議で定まる。同課の西村嘉高担当課長(49)は笑顔を見せながらも「これからが正念場だ。身の引き締まる思い」と緊張感をにじませた。

 京都市役所(中京区)では正午すぎ、「歓迎 文化庁の京都移転決定」と大書された大型看板(縦約1・2メートル、横約8・3メートル)が正面玄関に掲げられた。市役所前広場で除幕式があり、集まった多くの市職員らが大きな拍手で喜んだ。

 京都には数多くの文化財がある。文化財の維持に欠かせない選定保存技術保持者の森本安之助さん(53)=下京区=は「錺(かざり)金具」の技術で寺社などの修理に携わる。移転決定に「(文化庁は)文化財が多い京都にあるべきだ。京都府民にとって文化財は身近で、保護の意識も根付いている。京都に来れば、担当者と気軽に話せ、指導も受けやすくなるだろう」と歓迎する。

 臨済宗建仁寺派宗務総長の坂井田良宏さん(69)=東山区=も「巨大地震など自然災害も予想される中、耐震補強を含め、文化財を後世に残すための対応は急務だ。京都移転で文化庁の担当者には今まで以上に文化財の現状を見てもらい、社寺と地域との関わりについても考えてもらえれば、文化財保護の機運も高まるだろう」と話す。

■「草の根支援」求める声も

 市民向けに音楽コンサートや絵画展を企画する住民グループ「サンサ芸術の杜」の徳丸國廣代表(68)=右京区=は「文化財の保全や活用、文化の海外への発信強化が期待できる」と評価する。ただ、「市民レベルでどんな効果があるかはピンと来ない」とも話し、「伝統的な祭りの継承や町並みの美化を担い、京都の文化を支えているのは市民たち。そうした草の根の活動への支援にもしっかり取り組んでほしい」と注文を付けた。

 京都国際マンガミュージアム(中京区)を訪れていた北区の石崎馨さん(45)は、文化庁移転の一報を聞いて「京都への移転で何がどう変わるのか」と首をかしげた。「漫画も含めて文化を広く守っていけるような文化行政が理想的。庁舎建設などに膨大な税金が必要。本来なら政府は相当な覚悟を持たないといけないのに、文化行政の拠点を東京や奈良でなく京都に置く理由が伝わってこない」と語った。


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【文化庁・京都移転】庁舎はどこへ? 「駅に近い」「京都らしさ」…候補先はすでに11カ所

国会対応などの機能確保を前提に「数年以内の全面移転」が22日、明記された文化庁。今後は、移転先となる京都のどこに庁舎を置くのかが焦点になる。実際に移転先を決めるのは政府だが、京都府や京都市はすでに候補先を提示、地元の注目も集まっている。

 京都府や京都市が当初、重視したのは利便性。昨年8月には、JR京都駅に近い小学校跡地など4カ所を候補地として示した。JR京都駅に近ければ、東京との移動にも便利だろうと考えたからだ。

 しかし、馳浩文部科学相は「京都駅に近いということと文化庁の立地と因果関係があるのか」と不満を漏らした。

 このため、府は府警本部本館(京都市上京区)など5カ所をピックアップ。京都御所に近く“京都らしさ”を考慮した候補地を挙げた。京都市も、別の2カ所を候補地として挙げ、府市が提案する候補地は計11カ所となっている。

 ただ、この11カ所のなかから移転先が決まるというわけでもない。方針決定を受け、京都市は4月1日付で担当局長を配置し、文化庁移転推進室を設置する予定。門川大作市長は22日、「府や経済界、文化、宗教団体と連携しながら万全の態勢でスタートさせたい」と話し、移転用地については「必要に応じて国と協議したい」と述べた。


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<文化庁京都に>「現状ふまえサポートを」寺社芸術家ら願い

政府の「まち・ひと・しごと創生本部」(本部長・安倍晋三首相)は22日午前、政府機関の地方移転に関する基本方針を決定した。文化庁を数年以内に京都府に「全面的に移転する」と明記した。移転について、関係者からは期待や注文が相次いだ。

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 弘法大師が創建したとされる平岡八幡宮(京都市右京区)の佐々木俊輔宮司(60)は「移転を機に、神社の現状をふまえたサポートをお願いしたい」と話す。同八幡宮は一昨年、浄財と自治体による補助金で本殿内陣の一部を約200年ぶりに改修。「修復できたのは100分の1。外国人観光客誘致に国をあげて取り組むのは良いが、多くの社寺は修復はおろか現状維持も難しい」と話す。

 関西の版画家らで作る「関西版画会」代表の勝山正則さん(74)=同市左京区=は、浮世絵の伝統を引き継ぐ現代版画の振興に取り組むが、裾野が広がらない。「文化・芸術の力は国の力であり、平和の力。文化庁移転をきっかけに、京都の芸術界を盛り上げ、さらに国全体の芸術の力を高めるきっかけにしてほしい」と期待した。

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 文化庁の京都移転を受け、山田啓二・京都府知事は「日本の中央集権体制を作った明治維新から約150年。新たな構造改革に踏み切られた安倍首相らに感謝を申し上げる」とコメント。門川大作・京都市長は「京都市民の多くは、1000年を超えて日本の文化を創造し続けてきたこの京都に文化庁を『戻してほしい』と考えてきた。京都にとって長年の悲願で、今日が新たなスタート。オール京都で日本の未来のために役割を果たしていきたい」と喜びをあらわにした。


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<文化庁京都に>古都の悲願 実現へ場所は費用は…残る課題


古都の悲願が紆余(うよ)曲折を経てかなうことになった。地方移転の検討対象となった中央省庁7機関のうち、唯一正式に決まった京都府への文化庁全面移転。2015年簡易国勢調査(今年2月発表、速報値)でも首都圏の人口増加が顕著で、東京一極集中に歯止めがかからない中、文化庁の京都移転は政府が掲げる「地方創生」の成否を占う試金石になる。具体的な移転場所の選定や費用負担のあり方など、受け入れには今後も課題が残る。

 政府が地方創生の目玉として「政府関係機関の地方移転」の提案を募集したのに応じ、府は昨年8月、文化庁の移転を提案。地方移転に関しては各省庁が強く反発し、文化庁京都移転も一筋縄ではいかなかった。

 最初に出した提案書で府や市は、JR京都駅近くの市立小学校跡地など移転候補地4カ所を示した。ところが、昨年12月に視察した馳浩文部科学相は「がっかり」「熱意が全く伝わってこない」と発言。この「馳ショック」(府幹部)を受け、府や市は「文化行政にふさわしい」候補地を模索し、京都御所に近い府警本部本館(京都市上京区)や祇園に近い市上下水道局東山営業所(同東山区)など7カ所を加えて計11カ所を事務レベルで提案した。

 京都側の文化庁誘致の取り組みは10年以上にわたる。当初、庁舎の建設費については、地方創生を掲げる国側が負担すべきだとの考えだったが、今年1月に山田啓二知事らが安倍晋三首相らと面会した際には「地元も応分の負担をする用意がある」と踏み込み、熱意を示した。

 現時点で移転費用は不明だが、22日決定の基本方針では、政府内に組織見直しや費用などを検討する文化庁移転協議会(仮称)を設置するとした。消費者庁が今月、徳島県神山町で実施した「お試し移転」では、東京側との機密情報のやりとりで課題が指摘された。文化庁についても今後、国と京都側とのさらなる駆け引きが予想される。

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 京都造形芸術大(京都市左京区)でジュエリーデザインについて学ぶ3年の田辺円花(まどか)さん(20)は「外国人観光客が多い京都に文化庁が来ることで、文化芸術の海外への発信力がより高まるだろう。私たち学生も文化庁と力を合わせ、奥深い京都の芸術を発信するイベントなどに取り組みたい」と話した。

 世界遺産・天龍寺(同市右京区)や渡月橋などの名所を抱える嵐山は外国人観光客であふれる。土産物店経営で「嵯峨嵐山おもてなしビジョン推進協議会」幹事の石川恵介さん(46)は「これまで景観対策や観光振興に取り組んできたが、今後はもっと文化庁と協力し、嵐山の魅力を世界に伝えたい」と意欲を見せた。

 ◇寺脇研・京都造形芸術大教授(芸術論)の話

 民間から起用された故・河合隼雄元文化庁長官の下で4年間、文化部長を務めた。河合さんは京都国立博物館内に長官の関西分室を開設し、京都側でも文化庁誘致の機運が生まれた。しかし、当時は地方創生の考え方がなく、誘致実現はかなわなかった。今後、東京を離れて多くの文化財がある「現場」に移転することで、職員も国会議員に呼びつけられることがなくなり、本来の文化行政に全力を注げるようになるのではないか。文化庁が東京以外でもやっていけることを示せれば、他の省庁移転に波及する効果がありそうだ。

 ◇「京都ぎらい」の著者で、国際日本文化研究センター教授(風俗史)の井上章一さんの話

 文化庁の京都移転は、霞が関の人たちにとっては、左遷あるいは島流しと受け取るだろう。職員はあきらめても家族が受け入れず、単身赴任する人も多いのではないか。「行きたくない」と思っている人に頭を下げて来てくれるようお願いする洛中(らくちゅう)の人々を切なく思う。移転により、お役所仕事に関係した地元経済の一部は盛り上がるだろうが、それよりも芸能プロダクションや大手出版社を誘致した方が京都がにぎやかになり、新しい産業も生まれ、波及効果が大きいのではないか。

 ◇文化庁京都移転を巡る経過

 2002年1月…河合隼雄・文化庁長官(当時)の要望で、京都で執務する拠点を京都国立博物館内に設置

 07年1月…関西元気文化圏推進・連携支援室(文化庁関西分室)を博物館内に設置

 12年4月…関西分室を京都府庁旧本館に移転

 15年7月…京都府、京都市、経済界などで「文化庁等移転推進協議会」を設置

    8月…京都府が移転提案書を政府に提出

   12月…政府が中央省庁などの地方移転に関する方針案を有識者会議に提出。検討対象を34機関に絞り、文化庁も候補に残る

 16年1月…政府が文化庁の移転方針を固める。有識者会議が山田啓二・京都府知事らからヒアリング

    3月…国会対応など一部業務を除く全面的な移転を決定
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