京都 文化庁移転、朱に染め祝福 東寺や京都タワー

2016年03月23日

京都 文化庁移転、朱に染め祝福 東寺や京都タワー

京都 文化庁移転、朱に染め祝福 東寺や京都タワー

文化庁の京都移転が決定した22日、世界遺産・東寺(教王護国寺、京都市南区)と京都タワー(下京区)、京都市役所(中京区)が、午後6時半ごろから同庁のシンボルマークに用いられている朱色にライトアップされた。

 移転決定を記念して、市が実施を呼び掛けた。東寺では国宝の五重塔が夜空に赤く浮かび上がり、普段と一味違う幻想的な雰囲気を醸し出した。

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文化庁移転、メリットを世界に 京都の各界代表ら

文化庁の京都移転を盛り込んだ政府の基本方針が決まった22日、地元では、誘致協議会の会合や、誘致に中心的な役割を担ってきた京都府、京都市、京都商工会議所トップの共同記者会見が開かれた。移転が十分な効果を発揮するには、文化庁の機能強化や地元との連携が欠かせない。関係者は歓迎ムードもそこそこに、受け入れに向けて知恵を出し合った。

 「移転して良かったと日本中、世界に認めてもらうことが京都にとっての重要な使命だ」。京都市上京区で開かれた文化庁京都誘致協議会の会合。前文化庁長官で京都市芸術文化協会理事長の近藤誠一氏は、緊張した面持ちで語った。

 会議には経済や文化、宗教団体の代表ら21人が出席。誘致で打ち出した文化や観光面でのメリットの実現は、今後の展開に掛かっている。出席者からは「観光への効果を考慮し、準備段階から観光庁との関係を考えて議論してほしい」「日本全体が文化に支援を注ぎ込もうと思える実績を早期に挙げなければ」と、移転後の文化行政の在り方も視野に入れた厳しい意見が出た。

 移転受け入れに際しては地元負担も想定されるだけに、府民の理解を得るための取り組みも欠かせない。協議会の終了後、山田啓二知事、門川大作市長との共同会見に臨んだ立石義雄・京商会頭は「移転の趣旨や狙いをきめ細かく知ってもらう情報発信を強化していくことが大事だ」と気を引き締めた。

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【文化庁・京都移転】「東京は政治・経済で手一杯」「京都を軸に文化を考える機運」 歓迎ムードに

文化庁の京都移転が正式決定した22日、京都市役所(京都市中京区)と京都タワー(同市下京区)、東寺(同市南区)の3カ所が文化庁のシンボルカラーの「朱色」にライトアップされるなど、地元は一気に歓迎ムードに包まれた。

 京都に住んで約10年になるという京都市中京区の無職、今沢孝喜さん(65)は「移転するかもしれないというのはニュースで知っていたが、非常にいいことだと思う」と笑顔。

 同区内で約30年にわたり喫茶店を営む、河村達也さん(57)も「文化庁の職員などが店を利用してくれて、売り上げも伸びればいい」と経済効果にも期待を寄せていた。

 この日は、誘致関係者でつくる「文化庁京都誘致協議会」の会合も京都市内で開催。出席者からは「職員を温かく迎える態勢づくり」などを求める声もあがっていた。

 会合のなかで、3年前まで文化庁長官を務めていた近藤誠一・京都市芸術文化協会理事長は「東京は政治・経済で精いっぱいで、文化への配慮がおろそかになっている。京都には歴史や文化があり、暮らすだけで重要性を感じることができる」と指摘。山折哲雄・国際日本文化研究センター名誉教授は「京都を軸に国の文化を考える機運が出てきた」と語った。会合では今後、自治体など関係機関でつくる準備組織を設置することも確認された。

 誘致運動をめぐっては、熱意をアピールしようと、「(地元が)移転費用の一部を負担する用意がある」と訴えてきた経緯もあり、今後は、負担の程度なども検討課題になりそうだ。

 京都府の山田啓二知事は会合後の会見で、「(文化庁移転は)京都全体に大きな効果がある。応分負担はある意味当然だ」と言及し、理解を求めた。

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京都の関係者ら喜びに沸く…文化庁移転決定

 1200年の歴史に彩られた古都に、文化行政の拠点が移ることになった。政府が22日に決定した文化庁の京都移転。数多くの文化財が集積し、世界の人々を魅了してきた京都を日本の「文化首都」にしようと、官民を挙げて誘致活動に取り組んできた地元の関係者は喜びに沸いた。

 京都府の担当課には午前8時過ぎ、政府の「まち・ひと・しごと創生本部」から、文化庁の全面移転方針を伝えるメールが届いた。職員は「移転が正式に決まり一安心。ただ、これからの受け入れ準備が大変」と表情を引き締めた。

 山田啓二知事は記者会見で、「東京一極集中のゆがみを直す大きな一歩になり、日本全体の文化振興にも大きな役割を持つ。京都でも協議会を作り、迎え入れの用意をしたい」と語った。

 京都市役所では午前9時半、「長年の悲願だった文化庁の京都移転が国で決定されました」と庁内放送が流れ、職員から拍手が起きた。正面玄関上には「歓迎 文化庁の京都移転決定」と書かれた大型看板が設置され、門川大作市長は「(官民合わせた)オール京都で日本の未来のために役割を果たしていきたい」と笑顔を見せた。

 安倍政権が地方創生の一環で省庁の地方移転を打ち出すと、京都府・市は、経済界などと連携して文化庁誘致に手を挙げた。1月には山田知事らが安倍首相と面談、移転の意義と地元の熱意をアピールしていた。

 文化振興や文化財保全を担ってきた地元関係者からは喜びの声が相次いだ。

 昨年、社殿を修復する21年に1度の式年遷宮を迎えた世界遺産・上賀茂神社(京都市北区)の田中安比呂宮司(73)は、建築物の文化財指定などの協議のため、たびたび文化庁を訪問。「言葉だけでは文化財の貴重さをなかなかイメージしてもらえない。担当者が直接、現場を見る機会が増えることは大変ありがたい」とし、「日本全体で文化財を大切にしようという機運も高まるはず」と期待をにじませる。

 NPO法人日本料理アカデミー理事長で、和食文化の普及に努めている料亭「菊乃井」主人・村田吉弘さん(64)は「世界に向けた京都の発信力がさらに高まり、名実ともに文化の中心は京都になる。市民にとって大きな誇り」と声を弾ませた。

◆候補地改修、京都側負担は数十億円か

 京都府と京都市は、文化庁の移転候補地として、京都御苑や府庁に近い府警本部(移転予定)や、JR京都駅に隣接する小学校跡地など計11か所の府・市有地を提示している。ただ、老朽化した建物が中心で、大規模な改修や建て替えは避けられない。200人程度とみられる文化庁職員の宿舎なども必要となる。

 府・市は、土地提供や庁舎建設費用について「応分の負担」を表明している。具体的な移転先や費用負担は今後の協議となるが、市幹部は「国からどの程度の要求があるかわからない。建て替えなら、京都側の負担は数十億円規模になるのではないか」と話す。

◆和歌山と徳島も引き続き意欲

 政府が決定した省庁移転の基本方針では、和歌山県が手を挙げている総務省統計局と徳島県が求める消費者庁に関しても、「8月末までに結論を得る」と明記された。移転の道は残ったが、文化財の多い京都の文化庁と比べて移転の理由付けが弱い面は否めず、基本方針で「移転の具体的なメリットを明らかにする必要がある」と指摘された。

 和歌山県はこれまで、和歌山大との連携を図れることや関西空港からの近さをアピールしてきた。政府は今後、ICT(情報通信技術)を使って和歌山と東京でやり取りする実証実験も実施する。仁坂吉伸知事は22日の定例記者会見で、「提案を真摯しんしに考えてもらった。実証実験に誠心誠意協力したい」と意欲を示した。

 消費者庁の移転を巡っては、板東久美子長官らが今月13~17日、徳島県に滞在する「お試し勤務」を行った。ただ、板東長官は最終日の記者会見で、国会や、消費者に関わる緊急事態があった場合の対応などを課題に挙げた。同庁は7月にも約1か月間、職員数十人らによる試行勤務を予定している。飯泉嘉門知事は「移転実現へ大きく新たな一歩を踏み出してもらい、心から感謝する。課題を一つ一つ丁寧にクリアしていきたい」とのコメントを発表した。


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