京都 女性ホルモンでiPS治療促進 パーキンソン病

2016年03月19日

京都 女性ホルモンでiPS治療促進 パーキンソン病

京都 女性ホルモンでiPS治療促進 パーキンソン病

ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製したドーパミン神経細胞を脳内に移植する際、女性ホルモンの一種を投与することで神経ネットワークの構築が促進されることを、京都大iPS細胞研究所の高橋淳教授や西村周泰・元研究員が突き止めた。高橋教授らが計画しているiPS細胞を使ったパーキンソン病の再生医療の質向上につながる成果で、米科学誌ステムセル・リポーツで18日発表する。

 iPS細胞から作製したドーパミン神経細胞をパーキンソン病患者の脳内に移植し、運動機能の改善を目指す再生医療では、移植した細胞が脳内の細胞と接合構造(シナプス)を形成し、細胞間の神経伝達がきちんと行われる必要がある。

 グループは、パーキンソン病の病態を再現したラットの実験で、脳内にヒトiPS細胞由来のドーパミン神経細胞を移植する際、女性ホルモンの一種であるエストラジオール誘導体を全身に投与しておくと、シナプスの形成が促進され、運動機能が早期に改善されることを確認した。ドーパミン神経細胞の受け手となる神経細胞のタンパク質「インテグリンα5β1」が活性化し、シナプスの形成を促しているとみている。雄のラットでは、効果は確認されなかった。

 高橋教授は「既存薬であるエストラジオール誘導体が、細胞治療に役立つ可能性があることを示せた。ただし、実際の治療に用いる場合には、適切な投与の量や期間などを詳しく検討する必要がある」としている。



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