京都 「震災の記憶風化させぬ」 京都の男性、犠牲の先輩へ誓い

2016年03月19日

京都 「震災の記憶風化させぬ」 京都の男性、犠牲の先輩へ誓い

京都 「震災の記憶風化させぬ」 京都の男性、犠牲の先輩へ誓い

東日本大震災 311

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 東日本大震災で亡くなった先輩を思い、京都市内でフランス料理店を営む男性が毎年、津波被害を受けた岩手県陸前高田市へ義援金を届けている。震災から5年を迎え、震災の記憶を風化させたくないと願う。「現地を訪ねて聞いたことを伝え、京都との懸け橋になりたい」と話す。

 中京区のフランス料理店「シェモア」の中島昌さん(56)=中京区。毎年1回、売り上げの全額を寄付する震災チャリティーパーティーを開き、支援を呼び掛けてきた。

 中島さんは京都の調理師学校を卒業後、18歳で東京のレストランに就職した。そこで出会った先輩が、陸前高田市出身の及川公夫さんだった。3年間、同じ寮の部屋で生活し、言葉遣いや会社のルール、仕事への心構えを教わった。

 震災の津波で及川さんは亡くなった。53歳だった。及川さんの妻と義父、義母も遺体で発見された。

 震災の1週間前、陸前高田市で和食店を開いていた及川さんから、中島さんに電話があった。「エスカルゴバターのレシピを教えてくれ」と頼まれ、メールでレシピを送った。「ありがとう」の文字と絵文字を添えた返信が最後の連絡となった。

 中島さんは2011年秋に第1回のチャリティーパーティーを夫婦で開き、陸前高田市に義援金約60万円を届けた。被災地で見たがれきの山や平地を思い出すと、今でも涙がこぼれる。カメラを持っていったが、津波に耐えた一本松の写真を1枚撮るだけで苦しかった。

 今年も4月17日にチャリティーパーティーを開く。昨年は約80万円が集まった。陸前高田市の戸羽太市長からは「毎年2人が来てくれることがうれしい。陸前高田が今どういう状況にあるかを見てほしい」と言われた。

 中島さんは「現地の今を伝えることも大切だと感じた」といい、「復旧や復興に向けた工事は進むが、再び人が集まるか分からない不安の声も聞いた。震災が忘れられないようにしたい」と話す。

 チャリティーパーティーは要予約。会費5千円。問い合わせはシェモア携帯電話090(5121)9580。



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