京都 「とがった人材」どんな人? 京大特色入試合格者の素顔

2016年03月15日

京都 「とがった人材」どんな人? 京大特色入試合格者の素顔

京都 「とがった人材」どんな人? 京大特色入試合格者の素顔


「意欲的でとがった人材」を求めて、京都大が2016年度入試から始めた特色入試の合格者が法学部をのぞき出そろった。高校での課外活動や入学後の「学びの設計書」などを通じての審査に加え、理学部では数学オリンピック級の超難問が出題されるなど筆記試験の難易度の高さも注目を集めた。一体どんな高校生が合格したのだろう? その素顔に迫った。

■約数の定理発見

 「学校での数学の成績は平均的でした」。理学部合格の洛北高3年ホッジ・ルネ・倫(りん)さん(18)は明かす。中学と高校では剣道に熱中し、5段階評価の通知表では大半が2か3だった。数学でも3か4。「一般入試での合格は無理だった」と率直に語る。

 理学部では、調査書や報告書などの書類選考を経て、難問ぞろいの数学の筆記試験がある2次選考に進む。飛び抜けた数学力が必要なはずだが、合格の秘密は何だろうか。

 「研究ノート」を見せてもらった。計6冊すべて数式で埋め尽くされている。ホッジさんは中学1年から独自に好きな数学研究に取り組んできた。約数の和に関する定理を独力で発見するなど研究者並の成果もある。「自分で考えたりインターネットで調べたりして追究しました」。自主的な研究活動で培った思考力が難関突破に結びついた。

 幼なじみで、同じく理学部特色入試に受かった同高3年の吉永公平さん(17)はすぐそばで興味を共有してきた。中学時代は一緒に通学。バスに揺られながら、ホッジさんの研究内容をしばしば語り合った。

 吉永さんの成績は学年トップクラスで、既に大学の物質化学の研究室に出入りして先端科学にも触れてきた。しかし、ホッジさんには一目置く。「自分で研究している人が身近にいて、刺激を受けました」

 切磋琢磨(せっさたくま)し合った2人は春からまた同じ道に進む。「入りたかった京大で研究を深め、学業以外でも経験を積みたい」と声をそろえた。

■チャレンジ精神

 工学部に合格した京都教育大付属高3年の八鳥孝志さん(18)は、高校2-3年時、自らつてを探してノルウェーに留学した。ホストファミリーの元に暮らし、まったく話せなかったノルウェー語も日常会話程度は習得した。現地で数学五輪の予選に挑戦し、最終ラウンドまで残った。担任の種岡和哉教諭(35)は「研究熱心でチャレンジ精神にあふれている。受かるべくして受かった」と納得の表情を浮かべる。

■要約は得意

 特定分野の飛び抜けた能力を測る試験がある一方、論文などを通して総合的な学力を重視する学部もあった。経済学部に入学する洛南高3年の山万純さん(18)は、長文要約や自分の考え方を記述する試験に挑んだ。「文章の要約は得意」という山さん。「現代における自由」について、個人と企業といった立場の違いから多角的に論じた。高校で書道などに熱心に取り組んだ結果も評価されたようだ。

 京大の特色入試では定員割れの学部もあり、課題は残した。だが、入試企画課は「一般入試だけでは得られない人材を得られた」として、改善しながら続ける意向だ。従来の学力テストだけでは測れない個性的な人材を獲得するため、各大学の模索が始まった。
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