京都 <東日本大震災5年>立命館・災害復興支援室 つながる 

2016年03月14日

京都 <東日本大震災5年>立命館・災害復興支援室 被災地とつながる 仲間として被災地へ 学生のボランティア後押し 

京都 <東日本大震災5年>立命館・災害復興支援室 被災地とつながる 仲間として被災地へ 学生のボランティア後押し 

東日本大震災 311

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 ◇「パッケージ型」から「個別型」に

 東日本大震災直後の2011年4月、学校法人立命館は学生らのボランティア活動を後押しする「災害復興支援室」を開設した。5年間で延べ1200人以上を被災地に送る中で、支援方法も当初の「パッケージ型」から「個別型」に変化してきた。副室長の山口洋典(ひろのり)准教授(社会心理学)は「これからは支援『する側』と『される側』ではなく、何かを実現する仲間として関わることが重要になる」と強調する。

 今月2日、京都市中京区の朱雀キャンパスで、留学生と山口准教授らが意見を交わしていた。留学生5人が9?14日、福島県主催のスタディーツアーに参加するのを前に開かれた学習会。ツアーには東京電力福島第1原発の見学も組み込まれている。中国人留学生で大学院1年のウェン・イェヤンさん(24)は「家族は福島に行くのに否定的だったが、実際に訪れて福島の真実、魅力を伝えたい」と意気込んでいた。

 支援室は、学校法人立命館として速やかに意思決定し、復興支援の取り組みと学内外の機関との効果的連携や調整を図るため設立された。被災学生への経済的支援のほか、復興支援や研究推進プロジェクトの企画などを一手に担う。

 当初は活動内容を計画して学生を派遣する「学生ボランティアバス」に力を入れていた。運行は昨年9月で計33便を数え約400人の学生が参加した。がれき撤去から地域の祭りの手伝いなどへと、ボランティアの内容も徐々に変わってきた。昨年9月には、岩手県宮古市で理工学部の教員と学生らが産直販売所を建設した。

 しかし最近では、支援室がお膳立てして団体で行かせるだけではなく、個々が活動内容を決めて被災地に向かわせるようにしつつある。一度支援を経験した学生に、その時できた人間関係を生かしてもらうのが狙いだ。山口准教授は「一度被災地を訪れただけで、分かった気になってほしくない」と説明する。

 個人で被災地に出掛ける学生のため、2014年夏に旅費支援も始めた。長期休みの間の活動に、距離に応じて最大2万2千円を援助する。15年夏までに約130人に支給した。この春休み中にも数十人の学生が申請し、今月9日に福島へ出発した留学生もこの制度を活用する。

 今後の支援のあり方について、山口准教授は「いつまでも自分たちが復興の担い手と思ってボランティアに行っていると、現地の人は被災者のままとどまってしまう。被災地は時間の経過と共に動いていることにもっと関心を持ってほしい」と話している。



kyoto00glo at 06:01|PermalinkComments(0)