京都 電子マネー時代、お小遣いは? 親子で「契約書」も

2016年03月12日

京都 電子マネー時代、お小遣いは? 親子で「契約書」も

京都 電子マネー時代、お小遣いは? 親子で「契約書」も

子どもの小遣いについて、どのように決めていますか? 電子マネーやネット販売が身近になり、若者をターゲットにした詐欺事件も起こっています。そんな社会だからこそ、子どもの時から金銭感覚を養い、お金の価値や契約の概念について学ぶ機会が大切。大人になってから役立つはずです。春の卒業シーズンを迎え、多額のお祝い金をもらうかもしれません。今この時期に、子どもとお金の関わり方について、しっかりと考えてみませんか? 

■幼い時がチャンス

 京都市中京区の河合由香里さん(36)は、5歳の長男に「そろそろお金のことを教えようかな」と考えている。ファイナンシャルプランナーの資格を持ち、民間団体「キッズマネーステーション」(東京都杉並区)の認定講師も務めており、「小学校高学年になると、親とざっくばらんに話す機会も減る。幼い時にこそ、お金のことを伝えるチャンス」と話す。

 お金を握りしめて駄菓子屋に通った世代とは異なり、今は電子マネーが普及する。習い事に通わせるため、交通系のICカードを子どもに持たせる親も少なくない。そんなカードだが、コンビニでもお菓子やジュースが簡単に買えてしまう。

 河合さんは「コンビニで友だちにおごってしまい、親がチャージしていたお金がなくなったというトラブルもある。ネット上の決済も増え、親自身が現金を扱う機会が減っている時代。目に見えても見えなくても、お金は使えばなくなるという感覚を、幼いうちから肌で覚えることが大切だ」と指摘する。

 自身の長男に対しては、「最初はお手伝いの『報酬』として少額のお小遣いを渡すことから始めたい」という。報酬の形をとるのは、お金は労働の対価として得られるものだと伝えるため。続けられそうな手伝いの内容を親子で話し合ったうえで、何回手伝ったら幾ら渡すかを決め、子どもにも理解できる言葉で書いた「契約書」を交わす。

 ただ、小遣いがなければ手伝いをしなくてもいいと、子どもが考えてしまわないためにも、親子で交わす契約書に「かぞくとして、おこづかいのためだけでなく、おてつだいをしっかりします」という一文も入れる。

 渡したお金の使い方にはできるだけ口を挟まないつもりだが、長男には、もらったお金を「自分のお金」「人のためのお金」「貯金」の三つに分けることを少しずつ伝えている。中を三つに仕切ったケースを用意し、用途ごとに小銭を分けて入れると、お金の流れがよく見えてくる。

 河合さんは「もう少し大きくなったら、手伝いにかかわらず定額で渡す小遣いも取り入れたい」と話す。その際は学年や年齢によって自動的に金額を決めるのではなく、まず小遣いで買うものを話し合ったうえで金額を決めるつもりだ。

 「例えば、お菓子を買うためのお金か。ノートやえんぴつもお小遣いから出すのか。それだけでも金額は変わる。単純に『学年×100円』などと一律に決める必要はない」

■小遣い帳を習慣づけ

 京都府木津川市の渡辺孝子さん(59)は、京都生協の家計サポーターとして数々の家計簿と出合ってきた。5年に一度の統計では子どもの小遣いの金額も算出する。2010年のデータによると、中学生が500?2千円、高校生が5千円ほどだったという。

 渡辺さん自身は、2人の息子が中学生の時に毎月千円、高校生になってから毎月5千円ずつ渡してきた。「使い道は、ゲームソフトやジュースなど。自分の好きなものを買うお金がお小遣いとの位置づけでした」

 小遣いの渡し方を変えたのは大学生になってからだ。毎月2万円?2万5千円と金額は大幅に増えたが、食費や交通費、洋服代などをすべて小遣いでまかない、不足分はアルバイトで補うように決めた。渡辺さんは「2万5千円にした時、携帯電話代も自分で払うようにした」と語る。

 クレジットカードでよく使われる「リボルビング払い」や、悪質商法についても積極的に話題にした。「大学生を狙った詐欺事件も起きている。契約に関する基礎知識を日常会話から身につけてほしかった」と言い、リボルビング払いについても「一見すると便利だが、高い利息がついていることに気付かず利用している若者も多い」と指摘する。

 一つ後悔しているのは、子どもたちに小遣い帳をつけさせなかったことだ。「小学生のころはあんまり買う物もなかったので記帳しないまま大きくなりました。でも、やはり小遣い帳は習慣づけたほうが良かったと思います」と振り返る。

 記帳だけでなく、親子で一緒に集計をして「あと◯◯円がたまれば、◯◯が買えるね」などとアドバイスすると、お金の使い道に対する目標を持てる。「お金の動きを可視化することで使いすぎも防げますし、長い目でお金を使うことの大切さも伝えられる」と小遣い帳の役割を説く。

■「小遣いなし」が最多

 株式会社「オウチーノ総研」(東京都港区)が、首都圏に住む30?59歳の既婚女性696人を対象に昨年10月に行ったアンケートでは、子どもの小遣いを始めた時期で最も多かったのが「小学1年生」で19・6%。続いて「中学1年生」の8・5%だった。小中学校の入学を機に小遣いを取り入れる家庭が多い。 ただし「渡していない」との回答が全体の39・2%と最多を占める。理由として「買いたいものを、その都度申請してもらって渡す」「祖父母からのお年玉の金額が大きく、1年間お年玉でやりくりするようにしていた」などが挙がった。 また、お小遣いを渡し始めた理由(複数回答可)は「金銭感覚を身につけるため」(47・3%)「お金の管理能力を養うため」(46・8%)など、お金と主体的にかかわることを目指して渡そうとする姿勢が目立った。



kyoto00glo at 06:08|PermalinkComments(0)