京都 学生観光ガイド、デビューへ涙と喜び

2016年03月09日

京都 学生観光ガイド、デビューへ涙と喜び

京都  学生観光ガイド、デビューへ涙と喜び

半世紀以上にわたって古都の名所を案内している「京都学生ガイド協会」(京都市上京区)では、今年も新人ガイドがデビューする季節を迎えている。市と市観光協会主催の「京の冬の旅」が初舞台で、独り立ちするためには厳しい試験が待ち構える。観光客に見せる笑顔の裏側で、新入生13人が奮闘を続けている。

■最後の試験、トラップ各所に

 新人はまず「見習い」として丸一日、業務に加わる。「大きな声であいさつしているか」「参拝者への注意喚起ができるか」など働きを認められると、最後の試験がある。

 冷え込んだ2月上旬の夕方。この日の特別拝観を終えた相国寺塔頭の養源院(京都市上京区)では、長野県出身で京都女子大1年の岩崎史子さん(20)が試験に臨んだ。

 歴史好きで、昔から観光ガイドへの関心があったという。この日に備え、寮の消灯後も図書室にこもって練習を重ねてきた。「緊張でおなかが痛い」と表情は硬い。何カ所も赤線が引かれた原稿に直前まで目を通した。

 いよいよ試験が始まる。参拝者に扮した先輩4人を前に、「こちらの養源院は、曇仲道芳(どんちゅうどうほう)禅師によって開かれました臨済宗相国寺派のお寺です」。顔は案内する相手に向け、原稿を暗唱する。

 突然、先輩が撮影不可の毘沙門天像にカメラを向けた。岩崎さんはすかさず、「写真撮影はご遠慮いただいております」。これも試験の一環で、不測の事態にも臨機応変に対応できるかをみる。

 他にも、「あの額の字は何と書かれていますか」と不意に質問をしたり、ガイド同士で交わすサインが理解できるかを試したりと、先輩が「トラップ」を仕掛けていく。その後も試験は続き、15分ほどで案内が終わった。

 審査の結果、残念ながらこの日は不合格。先輩からは「読み方の間違いが多い」「ミスをすると『やってしまった』と表情に出ている」と厳しい講評を受けた。涙を流す岩崎さんに、先輩が「誰もが通る道だから」と今度は優しく言葉をかけた。実際、一度で合格する学生の方が少ないほどの難関という。岩崎さんには再び、試験が待つ。「頑張るしかない」と涙をぬぐった。

■観光客が質問、豆知識も大切

 最終試験を突破した学生は、いよいよデビューだ。「京都の歴史に興味があり、自分の勉強にもなると思った」と入会した福岡県出身の立命館大1年大谷奈央さん(19)は2月25日、養源院で初めて案内に立った。

 開門前、「お客様が先輩のガイドと比べて損をしたと思わないように案内したい」と気を引き締める。午前10時、参拝者がやって来た。6人の男女を前に、「秘仏の毘沙門天像は長年存在が知られておりませんでしたが、江戸時代に夢のお告げで発見されました」「病気を治す仏様の薬師如来が安置されておりますことから、戊辰戦争の際、薩摩藩の野戦病院として使用されたと考えられます」。よどみない口調でお寺の歴史を紹介していく。初めての案内を終えると、参拝者から拍手がわき起こった。

 その後、「このふすま絵は誰が描いたのか」と質問を受けた。「ご住職のご友人が描かれたそうです。あちらのふすま絵はご住職が描かれたものです」。原稿とは別に覚えてきた「豆知識」も披露した。

 初日を終え、「回数を重ねるごとに緊張しなくなり、楽しいと感じられた」と大谷さん。「京都に来られた方が思い出に残る旅ができるよう、ガイドしていきたい」と誓った。

 新人ガイドは3月中に全員がデビューする予定だ。桜の季節には、団体客や修学旅行生を迎える。目下、「京の冬の旅」の案内と並行し、バスに添乗しての案内や、小中学生の班別行動のガイド練習にも励んでいる。



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