京都 五郎丸ポーズ、琴バウアー 迷いなくすルーティン効果

2016年02月23日

京都 五郎丸ポーズ、琴バウアー 迷いなくすルーティン効果

京都 五郎丸ポーズ、琴バウアー 迷いなくすルーティン効果


キックの直前に顔の前で祈るように両手を合わせる。土俵上で両手を広げて上体を大きくのけ反らせる…。大舞台でアスリートが見せる、ちょっと変わったポーズに注目が集まっている。ウオーミングアップとは異なり、競技とは直接の関係がなさそうな「ルーティン」と呼ばれる準備動作。どんな意図が込められているのだろうか。背景を探った。

 前者は、通称「五郎丸ポーズ」。昨秋のラグビーワールドカップで、日本の歴史的3勝に貢献した五郎丸歩選手(29)が、キックのたびに繰り返した。後者は1月の大相撲初場所で、日本出身力士として10年ぶりの優勝を果たした大関の琴奨菊関(32)が取り組み直前、最後の塩を手に行う動き。今月16日の会見で「琴バウアー」と命名された。2人とも意図的に行っており、「迷いがなくなる」などと効果を話している。

 「ルーティン」とは一般的に「決まった一連の動作」のこと。スポーツの現場では、緊張や不安をなくし、安定したパフォーマンスを発揮するためのメンタルコントロールの一つとして捉えられている。ラグビーブームと「五郎丸ポーズ」で一気に注目が集まったが、意外にその歴史は古く日本にゆかりがある。

 びわこ成蹊スポーツ大副学長の豊田則成教授(スポーツ心理学)によると、1964年の東京五輪で選手の「上がり」を防止しようと精神的自己鍛錬法が導入されたのがはしりという。広く普及するきっかけとなったのは84年ロサンゼルス五輪の米国選手団。各競技ごとに少なくとも1人のメンタルトレーナーを置きルーティンを徹底したところ、メダル獲得数が増え、世界に広がったという。

 ルーティンの動作中、人は何も考えていないといい、「考えずに感じているというイメージ。気分がよく、脳はポジティブなスイッチが入るので結果が出やすい」と説明する。すべての動作をつかさどる脳は普段、一部しか働いていないため、ルーティンがうまく作用すると、「持っている以上の力を出せる場合もある」と話す。

 一方で豊田教授は、安易なブームに警鐘も鳴らす。「最近はルーティンという言葉が一人歩きしている。まずは自分自身と向き合う作業が必要で、動作をまねすればいいものではない。他人と同じことをやっても意味がない」



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