京都 円高、京都・滋賀大手も警戒 対策で影響は限定的

2016年02月14日

京都 円高、京都・滋賀大手も警戒 対策で影響は限定的

京都 円高、京都・滋賀大手も警戒 対策で影響は限定的

12日の外国為替市場で円高が一気に進み、京都、滋賀の大手企業が警戒感を強めている。海外からの原材料費や仕入れ価格の低減などにつながる一方、売上高の目減りなどが避けられないためだ。急激な変動は業績への影響も大きく、動向を注視している。

 京セラは対米ドルで1円円高になると、売上高が年約38億円、税引前利益が同7・2億円それぞれ目減りする。現在の想定為替レートは1ドル=117円で、12日時点では約5円の開きが出ている。為替予約などの対策をとっているため影響は軽微だが「円高が長引けば業績が押し下げられる」(広報室)と神経をとがらせる。一方で「輸入ではメリットがあるため、海外からの部材調達などに迅速に対応してコストを削減する」としている。

 オムロンも1円円高が進むと年間で売上高が約34億円、営業利益が約3億円それぞれ減少する。中国経済の減速などから1月に2016年3月期業績予想を下方修正したばかりだが、円高が継続すればさらに影響が広がる可能性もある。

 ただ多くの企業は早くから海外生産の増強や為替予約などの対策を進めているため、影響は限定的だ。ワコールホールディングスは、円高が進めば国内市場向けに海外で生産した製品の価格が低下するため税引前利益が増える構造で、「どちらかといえば円高の方が望ましい」(IR・広報室)という。

 島津製作所も現時点で円高の影響はほとんどないとみている。経営戦略室の小谷崎眞室長は「競争力のある新製品の投入や継続的なコストダウンを通じて為替変動に対応していきたい」と話す。

 世界各地に拠点を持つ日本電産も「現地での生産販売に影響はないが、グループ企業の経営状況をしっかりと把握し、適切にコントロールする」(生島志朗広報宣伝・IR部長)とする。

 円高は海外からの仕入れ価格の低下にもつながる。グンゼは主力の繊維製品の原材料などを輸入しているため「全体で見れば円高の方がプラスになる」(広報IR室)。

 平和堂も、冷凍品や洋菓子などの仕入れ価格が下がれば「長期的にはプラスに働き、原油安で袋などの資材費も下がる見込みのため、コストの抑制につながる」(社長室)とみる。宝ホールディングスでも、原料用アルコールの輸入価格が下がるという。

 ただ、年初からの株価下落も背景に、日本経済が「緩やかな回復基調」をたどるシナリオが崩れる可能性もある。京滋企業のトップは難しいかじ取りを迫られそうだ。



kyoto00glo at 06:01|PermalinkComments(0)