京都 学童保育、施設ごとの差鮮明 国基準導入から1年

2016年02月09日

京都 学童保育、施設ごとの差鮮明 国基準導入から1年

京都 学童保育、施設ごとの差鮮明 国基準導入から1年

 国の「放課後児童健全育成事業」で、学童保育の設置や運営に子ども1人あたりの面積や1クラスあたりの人数の基準が導入されて間もなく1年を迎える。京都・滋賀でも増築や民間事業者の参入で面積基準をクリアするところがあれば、めどが立たないところもあり、施設ごとの差が浮き彫りになっている。

 真新しい遊戯室で卓球を楽しむ子どもたちの歓声が響く。別棟の図書室では読書に興じる子が数人。敷地に余裕のあった京都市伏見区の住吉児童館は昨年4月に遊戯室を増築した。現在、2室を学童クラブ(学童保育)の子の専有スペースにあてて2クラス制を取っており、國重晴彦館長は「理想的な形で基準をクリアできた。地域の子もより一層遊びに来やすくなった」と喜ぶ。

■増築1カ所のみ

 厚生労働省令により本年度から導入された放課後児童健全育成事業の実施基準では、児童1人あたりの面積基準を「おおむね1・65平方メートル以上」としたほか、児童おおむね40人程度を1クラスとして2人以上の「放課後児童支援員」がつくよう求められている。

 京都市の場合、学童クラブに登録する児童の80%を実際の出席者と見なしたうえで1人あたりの面積を計算。年度当初の時点で基準に満たなかった学童クラブは159カ所中12カ所だった。このうち増築できたのは住吉児童館のみだ。「敷地に余裕がなければ増築も難しい」(市児童家庭課)といい、8カ所は離れた場所にある小学校の空き教室や地域の集会所に「分室」を設けるなどして対応した。

 一方、本年度中に必要な面積が確保できずに新年度以降の対応を目指すのは3カ所。そのうちの一つの下鴨小(左京区)の中に設けられた「友遊(ゆうゆう)クラブ」は、50人ほどの子どもが一つの教室にひしめきあう。1人あたりの面積は約1・42平方メートルで基準にやや足りないが、空き教室がなければクラスは増やせず現在調整中という。

■少人数で落ち着き

 面積基準はクリアしていても、クラス分けはさらにハードルが高い。「新制度では児童40人ごとにクラス分けをするよう求められるけど、それは理想」。京都市内の児童館に勤める50代の職員がため息をつく。

 「市からは出席簿や日誌などの書類はクラス別にするよう求められているけれど、自由来館する子もいるので場所がなく、確実なクラス分けなどとても無理」。児童館の2室のうち1室は学童クラブ専用のスペースではなく、児童館に自由来館する子どもの居場所ともなっている。おやつを食べている学童クラブの子の背後で自由来館の子が卓球をする日もあるといい、「地域に開かれた場所であることも大切だが、もう少し場所があれば」と話す。

 ただ、クラス分けをして少人数で過ごすと子どもたちの話をよく聞けたり、落ち着いた雰囲気になるのを実感しているといい、「環境の改善を求め続ける一方、子どもたちがより豊かに過ごせる場となるよう取り組んでゆきたい」。

 大津市では、学校の空き教室を利用するほか、今年4月には民間の社会福祉法人などの運営で新たに4カ所オープンする予定になっている。



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