京都 関西ブランドの向上などを議論 関西財界セミナー

関西経済活性化への道筋を探る第54回関西財界セミナー(関西経済同友会、関西経済連合会主催)は5日、京都市左京区の国立京都国際会館で2日目の議論を行った。今年は過去最多となる657人が出席し、選挙権年齢の引き下げを受け、次世代を担う若者の育成を支援するとともに、アジアとの交流を深化させる重要性を確認した。広域観光振興に向けたインフラ整備や、アジアの人材育成を通じた関西ブランドの向上などを議論し、持続可能な発展を実現するための方向性をまとめた関西財界セミナー宣言を採択して閉幕した。

 分科会討議は、国土開発や技術導入、温暖化対策などをテーマに企業の役割や将来ビジョンを考えた。

 国土開発は、東京一極集中是正の観点から、関西のインフラ整備を引き続き求める方針を確認した。リニア中央新幹線東京?名古屋間と名古屋?大阪間の同時開業や、北陸新幹線敦賀?大阪間の早期開業をあらためて関係機関に要望する。関西文化学術研究都市に次世代型交通機関を整備するべきとの意見も出た。

 レンゴーの前田盛明副社長は要望活動に関して「関西広域連合や自治体と、経済界の関係の悪さがネックになっている」とし、オール関西の連携が必要と主張した。パナソニックの松下正幸副会長も「東京の人は地方に関心がない。関西の現状を知らしめる方法を考えるべきだ」とし、関西の発信力強化が重要との認識を示した。

 最先端技術をめぐる討議では、幅広い機器や製品がインターネットでつながる「IoT」やビッグデータの活用に関心が集まった。オムロンの作宮明夫副社長は「企業の枠を超えてデータを流通させ、会社や人が自由に(データを)買うことができるプラットホーム(基盤)を作るべきだ」と提案した。

 法政大の西岡靖之教授は事業や拠点のネットワーク化で競争力が高まるとし、中小企業の経営にも役立つとの見方を示した。

 活性化の具体策では、健康・医療産業への期待が大きく、関西でクラスターを形成する方向性を打ち出した。検査データの解析や高齢者用住宅の開発など裾野は広がっているため、京都大の井村裕夫名誉教授は「企業が積極的に大学と連携し、新技術で製品開発を」と呼び掛けた。

 環境・エネルギー問題も議論した。電力の安定供給に向けて原発再稼働を求める声が目立ったほか、ごみの焼却熱や水素といった新エネルギーの活用を求める意見も相次いだ。温暖化防止のパリ協定で世界の気温上昇を2度未満に抑える長期目標が決まったことを踏まえ、21世紀政策研究所の竹内純子研究副主幹は「温暖化対策のためには原子力発電を補完するエネルギーの技術開発が必要」と指摘した。

 燃料電池車向けの水素供給を手がける岩谷産業の牧野明次会長は「(水素の)製造単価を下げることが課題。(パリ協定の)目標達成には原発の稼働が必要」と強調した。関西電力の八木誠社長は「持続的に原発を使うなら国は原発の廃炉と新設の新陳代謝を速やかに行う必要がある」と今後の課題を挙げた。