京都市長選 「インバウンド」で再び観光税論争
2016年02月03日
<京都市長選>「インバウンド」で再び観光税論争
<京都市長選>「インバウンド」で再び観光税論争
「インバウンド(訪日外国人)」巡り火花--。今月7日に投開票される京都市長選で、立候補した3氏全員が「駐車場税」や「拝観税」「ホテル税」と、いずれも観光に関わる新税の導入や検討の必要性を主張している。近年、国内外の観光客が増え続けている京都だが、市財政への波及効果はいまひとつで、何とか新税導入で税収増につなげたいのが本音。かつて「古都税」論争が巻き起こった同市で、再び観光税論争が繰り広げられている。
立候補しているのはいずれも無所属で、▽現職の門川大作氏(65)=自民、民主、公明、社民府連推薦▽新人の元京都府議、三上隆氏(85)▽新人の元市教職員組合執行委員長、本田久美子氏(66)=共産推薦(届け出順)。
2014年の京都市は▽観光客数5564万人▽外国人宿泊客数183万人▽観光消費額7626億円ーーといずれも過去最高を記録。しかし、そうしたにぎわいは市財政に大きく影響せず、3氏とも新税の検討が必要という点で一致する。
門川氏は選挙公約で「入洛客への新たな負担のあり方や超過課税等の課税自主権活用を検討」を掲げ、具体的には「駐車場税も一つの案」と説明する。同様の駐車場税は福岡県太宰府市で文化遺産や観光資源保全を目的に03年から導入されている。
三上氏は、観光寺院の拝観料に課税する「拝観税」を公約に明記。貧困家庭の子供への無料給食制度導入の財源にするという。
本田氏は公約で「独自財源検討委員会を立ち上げる」とうたう。外国人富裕層などによる宿泊収入で利益を上げている高級ホテルへの課税強化を検討するとしている。
14年度の京都市民1人当たりの市税収入は17万1597円。他の政令市平均を約1万4000円下回り、トップの大阪市より約7万4000円も低い。評価額の低い木造家屋が多く固定資産税収入が低いことや、学生が多く市民税収入が少ないなどの事情も影響しており、観光を市財政につなげることが積年の課題だ。
京都市では1985年、寺院の拝観料に課税する「古都税」を導入したが、有名寺院が反発し、拝観中止などで対抗。大論争となり、3年後に廃止となった経緯がある。