京都 ピロリ菌病原、全身に拡大も 京大教授ら発見

2016年01月26日

京都 ピロリ菌病原、全身に拡大も 京大教授ら発見

京都   ピロリ菌病原、全身に拡大も 京大教授ら発見

胃に感染してがんなどの原因となるピロリ菌の病原タンパクが、胃の細胞を通じて全身に広がる可能性の高いことを、京都大工学研究科の秋吉一成教授らが突き止めた。ピロリ菌は血液や心臓の疾患にも関わるとされ、病態解明につながる。英科学誌に発表した。

 胃に感染すると、ピロリ菌は「CagA」という病原タンパクを細胞に注入し、がんなどを誘発する。ピロリ菌感染と胃以外の疾患の関連も指摘されていたが、原因は不明だった。

 秋吉教授らは、細胞から分泌される直径100ナノメートルの小胞「エクソソーム」に着目。まず、ピロリ菌に感染した胃がん患者の血液中にあるエクソソームを回収した。分析でCagAを確認し、ピロリ菌陽性患者の血液でCagAを含んだエクソソームの存在が明らかとなった。

 さらに別の実験で、CagA陽性の胃がん細胞から分泌されたエクソソームをCagA陰性の胃がん細胞に注入すると、CagA陽性の細胞に特徴的な形態に変化した。エクソソーム内のCagAが、がん細胞内と同じ活性を維持していることを確認した。

 秋吉教授は「体内にCagAがあれば、必ず胃がんやほかの病気になるわけではない。しかし今回の発見は、ピロリ菌が関わる胃がん以外の病気で、新たな治療法開発につながるはず」と期待する。



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