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2018年01月04日

女子会トーク 公費投入でストーカー改心狙う 京都府警、独自の取り組み「加害者対策が被害者を守る」(小川恵理子)

女子会トーク 公費投入でストーカー改心狙う 京都府警、独自の取り組み「加害者対策が被害者を守る」(小川恵理子)
ストーカーの本   参考
ストーカー5分類s

カウンセリングは1回1時間以内で、初回(8640円)と2〜5回(各6480円)の費用



公費投入でストーカー改心狙う 京都府警、独自の取り組み「加害者対策が被害者を守る」



 歪(ゆが)んだ愛情はいずれ狂気に変わり、被害者に牙をむく-。深刻な被害が後を絶たないストーカーに歯止めをかけようと、京都府警は昨年11月、「京都ストーカー相談支援センター」を新設した。被害者対応は当然だが、公費負担で加害者対策に乗り出す点が最大の特長で、専門機関と連携し、加害者がカウンセリングや治療を受けるよう導く。加害者対策に公費を投入するケースは珍しく、京都府警がモデルケースとなれるか注目される。


ストーカーの心理

「殺しておけばよかったと、正直なところ、今でも思っています」

京都府警本部(京都市上京区)で昨年12月中旬に開かれた、ストーカー事案を担当する警察官らが集まった研修会。スピーカーとして参加した元ストーカー加害者の20代男性が、こう打ち明けた。やや神経質な印象だが、細身でどこにでもいそうな青年だ。

男性によると、加害者となったのは数年前。同窓会で幼なじみの女性と再会して関係を持った後、女性に《会って話したい》などとメールで連絡するようになった。



だが、まったく受け入れてもらえない。《一度、会ってくれるだけでいい》。女性は拒否し続けたが、男性のメールや電話での要求は次第にエスカレート。女性に対する好意が、憎悪に変わるまで時間はかからなかった。


《(女性を)恨んでいるから。好きじゃなくなったら恨みしかない。》

《殺す。》

女性は警察に相談し、男性は逮捕、起訴され、脅迫罪で懲役8月の実刑判決を受けた。

危険度を分類

このように、ストーカーの加害者は相手の気持ちを顧みず、相手に対する過度な思いを抱え込んでしまう。

ストーカーの加害者、被害者のカウンセリングを行う「NPOヒューマニティ」(東京)の小早川明子理事長によると、ストーカーの定義は「特定の相手に対する過剰な関心などを持ち、相手の許可なく接近する人」のこと。その危険度は3段階に分類され低い順に、交際相手に復縁などを求め、危険な存在になる可能性が高い「リスク」▽攻撃的な文句を言ったり、待ち伏せたりする「デンジャー」▽脅迫や、最悪の場合は殺人など刑事事件に発展する恐れのある「ポイズン」-に分類される。


いずれの段階も、加害者は自分では自分の行動を止められない心理状態。被害者などから相談を受けた警察が加害者を専門機関につなぎ、精神科医などによる医療的な働きかけが必要だ。


専門機関では、被害者への執着や憎悪の感情を取り除き、行動をコントロールできるよう、思考を変える治療を行う。

冒頭の男性は、小早川氏の勧めもあって入院した。ストーカー行為への欲求そのものを低減させるという「条件反射制御法」などの治療を重ねた。今では「女性は好きだが、彼女の生き方を受け入れられない」と相いれない感情を持ち、「殺意はなくなった」という。完治に向けて通院を続けている。

警察の取り組み始まる

相次ぐストーカーの事案を受けて、警察庁は平成27年、ストーカー加害者対策を強化する方針を打ち出した。つきまとい行為などでストーカー規制法に基づく禁止命令を受けたり逮捕されたりした加害者が対象。加害者が精神科医に個人情報の提供を同意すれば、警察は医療機関に加害者をつなげることができる。


背景には、24年に神奈川県逗子市で発生したストーカー殺人事件などがある。逗子の事件では、被害女性=当時(33)=を殺害した元交際相手の男は、女性に対する脅迫容疑で逮捕されたが、執行猶予付き判決を受けた後、凶行に及んだ。被害者への過剰な執着や恨みの感情が根底にあったとみられる。


全国の警察がストーカー対策に乗り出した平成28年4月以降、ストーカー規制法などで警告・摘発された加害者に治療を勧めたのは293件(同年12月まで)。ただ、実際に受診に結びついたのは約25%の73件にとどまり、治療を拒否したのは全体の約60%の179件に上った。治療費は自己負担で、受診するかどうかは任意であるためとみられている。


公費でカウンセリング

この状況を受け、京都府警は28年8月、加害者対策を念頭に、大学教授や司法関係者らとともに研究会を立ち上げた。逗子事件の被害女性の兄の芝多修一さんも研究会の場で講演し、遺族の立場から「加害者を事件を起こす前の段階で止めることが大事」と訴えた。

29年11月には、全国で初めてストーカーに特化した「京都ストーカー相談支援センター」が発足。被害者からの相談に加え、「公益社団法人葵橋ファミリー・クリニック」(京都市上京区)と、心理相談室を経営する「ケーアイピーピー」(同市伏見区)を加害者のカウンセリング機関として選定した。カウンセリングは1回1時間以内で、初回(8640円)と2〜5回(各6480円)の費用を全額公費で負担する。さらに、こうしたカウンセリングで治療が必要と判断されて精神科を受診する場合、初診料に限り公費で負担する制度も設けている。

このように、ストーカー対策として、カウンセリング費用や治療費を公費で負担するのは全国でも珍しい。



受診はあくまで任意だが、センターの担当者は「加害者の治療は被害者を守ることにつながる。『治したい』という思いをもつ加害者は、治る可能性も高い」と期待を込める。(小川恵理子)




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