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2020年06月28日

NHKスペシャル 戦国~激動の世界と日本~(1)「秘められた征服計画」2020/06/28(日) メモ

NHKスペシャル 戦国~激動の世界と日本~(1)「秘められた征服計画」2020/06/28(日) メモ


地球規模の歴史から、日本の戦国時代の新たな姿を描くシリーズ。1集は、織田信長・豊臣秀吉、来日した宣教師、ヨーロッパ諸国の間で繰り広げられた、し烈な駆け引きを描く



世界各地で「日本の戦国時代」に関する発見が相次ぎ、大航海時代のヨーロッパと日本が強く結びつき、地球規模で歴史を揺るがしていた事実が明らかになってきた。第1集は、織田信長と豊臣秀吉の時代。ヨーロッパの16世紀の文書が公開され、信長・秀吉と、来日したキリスト教の宣教師、そして背後にいたポルトガルやスペインとの深い繋がりが見えてきた。それぞれの思惑と、しれつな駆け引きを描く。ナビゲーターは西島秀俊さん。

【司会】西島秀俊,【出演】前川泰之,【語り】礒野佑子

/////

日本の戦国時代をヨーロッパの意図から読み解く

 日本の戦国時代は今まではあくまで日本国内の視点のみで語られることが多かったが、それを世界との関わり合いから見ていこうという大胆な企画。視点を変えることで今までとは違う戦国時代の姿が見えてくるということである。

 日本の戦国時代、世界は大航海時代でキリスト教は世界制覇を目指していた。バチカン市国のイエズス会ローマ文書館に戦国日本にかかわる貴重な資料がある。今回特別に撮影を許可されたのが日本を訪れた宣教師の記録。記録は1549年にフランシスコ・ザビエルが来日して日本にキリスト教を伝えたところから始まる。


日本にキリスト教を伝えたザビエル
 全世界をキリスト教国にするという大きな使命を抱えた宣教師たちは、そのための情報活動も行っていた。宣教師は各地の日本人キリシタンの情報網から日本の政治に纏わる情報を収集していた。この情報網を取り仕切っていた宣教師がフランシスコ・カブラルだという。眼鏡をかけていたことから「4つ目のカブラル」と呼ばれていた彼は、布教の拡大のために次々と戦国武将への接触を図った。その過程で目をつけたのが織田信長だという。

 


 

信長と宣教師たちの虚々実々の駆け引き

 1572年、信長の屋敷を訪れたカブラルは布教に協力してもらうために信長に接近する。その3年後、長篠の合戦の勝利で信長は一躍天下統一に名乗りを上げる。この戦いは一般的に鉄砲の信長対騎馬の勝頼と見られているが、実は武田軍も鉄砲隊が存在した。この両者の違いは信長軍が使っていた鉄砲玉の分析から見えてくるという。成分を分析した結果、信長軍の鉄砲玉は遠くタイの鉱山で産出した鉛が使われていた。日本では貴重な鉛を信長は宣教師たちと手を組むことで入手していたのである。宣教師の記録でもカブラルが信長のために鉛の取引をしていたことが記されているという。ポルトガルの交易船が日本に鉛を運んでいたのである。


信長は鉛を海外から入手していた
 宣教師たちの狙いは全世界を支配下に置くことだった。そして信長と組んだ宣教師たちだが、その前に立ちはだかったのが石山本願寺に拠点を置く仏教勢力だった。宣教師は布教の妨げになる仏教勢力を信長に排除させようとしていた。宣教師たちの記録には「我々には日本を征服する権利がある」という記述さえあるという。カブラルは信長をキリスト教に改宗させることを考えていたが、信長は一族や家臣の改宗は認めたが本人はキリシタンになることはなかった。

 信長の意図は何にあったのか、実は宣教師たちはその情報も捉えていたという。秀吉が信長に「宣教師たちは密かに征服計画を進めている」と言ったという記録が残っている。秀吉はこの頃から宣教師たちに危険性を感じていたようであり、信長もそれを察知した上で軍事物資調達のために宣教師たちを利用していたのだという。

 宣教師たちは仏教徒を倒すために摂津に拠点を置く高山右近に目をつけ、右近に信長に味方するように働きかけたという。右近を始め1万人のキリシタン勢力の援軍を得た信長は石山本願寺に勝利する。


 

軍事大国化した日本を明国征服に利用しようとしていた宣教師たち

 戦国時代は宣教師たちの想像を越える事態をも生み出していた。日本が急激な軍事的発展を遂げていたのである。ヨーロッパから持ち込まれた鉄砲は、日本の刀鍛冶の技術と結びついてヨーロッパのものよりも質のよい鉄砲を量産できる体制が確立していた。鋼鉄製の甲冑さえ打ち抜ける破壊力を日本の鉄砲は有していた。戦国日本には30万丁もの銃が存在し、世界有数の軍事大国になっていた。宣教師たちはこの日本の力を利用することを考えていた。

 この頃、スペインでは征服王フェリペ2世がポルトガルを併合し、スペインは強力な世界帝国となっていた。フェリペ2世はアジアの支配に尽力するように命じ、宣教師たちはそのために中国の征服を考えており、日本の軍事力を利用して明国を征服することを考えていたのだという。

 しかし信長と宣教師の蜜月は、信長が自ら神になると宣言したことで終わりを告げる。信長が意のままにはならないと考えた宣教師たちは、九州のキリシタン大名たちに軍事的支援をすることでその強大化を狙っていた。この頃にキリシタンは10万人に増えていた。信長と宣教師たちの衝突は不可避になりつつあったが、それは本能寺の変で突然に終わりを告げる。


 

秀吉の朝鮮出兵の影で世界戦争の可能性が

 信長の死後、秀吉の天下を予想した宣教師たちは秀吉に接近する。秀吉は勝利し、政権中枢には多くのキリシタン大名が名を連ねることになる。この頃にはキリシタンは30万人を突破する。


宣教師たちは秀吉に接近する
 アジア征服のための中国支配を目指す宣教師たちは秀吉に明国出兵を働きかけようとするが、奇しくもそれは秀吉自身も考えていたところであった。宣教師は秀吉の朝鮮出兵に協力を約束する。九州の大名を中心とした日本軍は朝鮮を攻撃、劣勢を強いられた朝鮮に明国は大軍を援軍として派遣する。戦いは74万人を動員される大戦争となった。これによって最前線で戦うキリシタン大名の犠牲が急増する。しかし実はこれは秀吉のキリシタン大名を弱体化させるという戦略だったという。実はこれに先立ち秀吉はバテレン追放令を出してキリスト教の布教を禁じていた。宣教師の思惑はズレ始めた。さらに彼らを驚愕させたのは、秀吉が戦費調達のためにスペインの植民地であるフィリピンの支配を考えていたことだった。

 これに対してスペインは警戒を強める。実はこの時にスペインと日本との間での世界戦争の可能性さえあったのだという。しかしフェリペ2世が急死し、ほぼ同時に日本でも秀吉が亡くなることで世界戦争は起こることなく日本は朝鮮から撤兵する。


 

 なかなか面白い観点の内容である。当時のヨーロッパは布教と征服が一体となっており、実はイエズス会はヨーロッパによる世界征服の尖兵であった。こうして見ていると、想像以上にキリスト教勢力は邪悪な連中である。信長と宣教師たちのお互いに利用しようとする虚々実々の駆け引きも興味深いところである。しかしこうなってくると、本能寺の変の黒幕にイエズス会がいたという説もそう突飛なものには思えなくなってくるから不思議である。

 元から宣教師たちに対して警戒心を持っていた秀吉は、彼らを利用しつつも勢力が拡大しすぎてくると排除に移る。単に耄碌して判断力がなくなっていただけだと思われていた秀吉の朝鮮出兵も、その裏にキリシタン大名の勢力を削ぐという意図もあったと言われるとなかなかしたたかである。もっとも日本が明国を支配できると考えていたのは、やはり耄碌して判断力が鈍ってきたというようにも思えるが(もっとも宣教師たちも日本の軍事力で明国を支配させるつもりだったようだが)。

 なお日本を利用することを考えていたフランシスコ・カブラルは根っからの差別主義者で、日本人を内心でかなり見下していたという話もある。だからこその「我々には日本を征服する権利がある」なんだろう。ただこのような輩は当時のヨーロッパ人では極めて普通だったというのも事実。相手を野蛮人と見下しているから、力尽くの改宗も場合によっては根絶やしにすることも抵抗がないわけである。


 

忙しい方のための今回の要点

・宣教師たちはキリスト教による世界支配のために信長を利用しようとして接近し、信長もその意図を察知した上で天下統一のために利用する。
・信長は銃弾のための鉛を宣教師を使って海外から輸入していた。
・宣教師たちは布教の妨げとなる仏教勢力を排除するため、高山右近に働きかけて信長の石山本願寺攻めに協力させる。
・宣教師たちは信長をキリシタンに改宗させることも狙っていたが、信長はその狙いの乗らず、ついには自らを神と名乗るに至る。この事態に宣教師たちは九州のキリシタン大名たちを軍事支援して強力化させる。
・本能寺の変後、宣教師たちは秀吉が天下を取ると見込んで秀吉に接近する。宣教師たちはスペインの世界支配のために日本を利用して明国を征服することを狙っていたが、図らずしも秀吉も明国の支配を考えていたため、秀吉の朝鮮出兵に協力する。
・朝鮮では明国の援軍が来たことで大決戦となり、最前線のキリシタン大名の被害が大きくなるが、実はこれは秀吉の狙いでもあった。さらに秀吉がスペインの植民地だったフィリピンを戦費調達のために狙っていることも判明、スペインは警戒を強め、この時にヨーロッパとアジアでの世界戦争の可能性も持ち上がる。
・しかしスペインのフェリペ2世と秀吉がほぼ同時に亡くなったことで、この世界戦争の脅威は消滅する。


忙しくない方のためのどうでも良い点

・ヨーロッパ側の意図から戦国の歴史を読み解くという視点は、今まであまりメジャーではなかったですね。しかし今回こういう新たな視点を入れることで、この時代の歴史がさらに立体的に見えてきました。これは実に面白い。さすがになかなかやるなNHK。もっとも今回の内容は異論・反論も出るだろうな。もっともこの当時の宣教師たちはかなり胡散臭い連中であることは間違いないし、当時のヨーロッパが極めて侵略的であったのは疑いのない事実ではあります。
・しかし日本軍対スペイン軍のフィリピン沖海戦ってどうなるんでしょうね。外洋船の技術に関しては明らかにスペインの方に分がありますが、向こうは日本に比べると兵站線が長すぎる不利がある。それを考えたら結構ドッコイドッコイの勝負かも。ただ本気でこれをやったら、どっちの国も共倒れになる可能性が一番高い。

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『NHKスペシャル 戦国~激動の世界と日本~(1)「秘められた征服計画」』のテキストマイニング結果(ワードクラウド&キーワード出現数ベスト20)


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カブラル
記録
計画
歴史
キリシタン大名
軍事物資
軍事力
布教


///

(金属探知機の音)

戦国時代の日本を巡る
新たな発見がありました。

現れたのは 戦国の覇者 織田信長の
鉄砲玉です。

この鉄砲玉を科学的に分析したところ

驚くべき事実が分かりました。

その産地は 日本国内ではなく

4, 000キロ離れた
タイの鉱山だったのです。

鉄砲をとれ~!

群雄割拠の戦国時代。

し烈な争いは これまで

日本国内の出来事として
描かれてきました。

ところが今 世界各地で
戦国日本に関する発見が相次いでいます。

実は 世界と日本は 深く結び付き
歴史の大変動が起きていたのです。

特に注目されているのが

日本にやって来た
キリスト教の宣教師たちの機密文書。

宣教師たちは
壮大な計画を秘めていました。

日本の力を利用して

アジアを征服するというのです。

当時 日本では
軍事技術が急速に進化し

世界に類を見ない
軍事国家となっていました。

計画のカギを握るのは
天下統一を目指す織田信長。

信長と宣教師は それぞれの思惑を抱き

激しい駆け引きを繰り広げます。

宣教師の背後にいたのは
ヨーロッパの超大国 スペイン。

全世界をキリスト教国家に
しようとしていました。

やがて 戦国日本の軍事力は

世界に 未曽有の戦乱を
引き起こしていきます。

地球規模のグローバルな視点から
明らかになる 新たな歴史。

戦国日本と世界が織り成す激動の時代を
2回シリーズで描きます。

今から500年前の戦国時代。

皆さんは
どんなイメージを持っていますか?

勇猛果敢な武将たち。

そびえ立つ 巨大な城。

しかし 戦国時代には
全く別の姿もありました。

日本が初めて

広い世界と結びついた時代でも
あったのです。

世界は当時 大航海時代。

新たな領土や富を求めて

ヨーロッパの人々が
大海原に乗り出していきました。

同時に 世界各地に急速に広まったのが
キリスト教。

その波は アメリカ アフリカ
アジアに押し寄せ…

ついに 日本に到達します。

実は この時 宣教師たちは

壮大な征服計画を
胸に秘めていました。

それが 戦国日本の戦いや

天下統一への歴史を左右していたのです。

キリスト教 カトリックの総本山
バチカン。

戦国日本に関する貴重な史料の撮影が
特別に許可されました。

記録の始まりは 1549年。

この年 宣教師のザビエルが来日。

熱心な布教活動で
信者は 徐々に増えていきます。

宣教師には
全世界をキリスト教の国にするという

大きな使命がありました。

それを達成するため 実は 宣教師が
極秘の情報活動をしていたことが

明らかになってきました。

1572年の記録。

ひそかに進められていた将軍の暗殺計画を
つかんだことを記しています。

宣教師は
各地の日本人キリシタンと協力して

広大な情報網を築き
戦国武将の動向を探っていたのです。

記録には 情報網を取りしきっていた
宣教師の名前が記されています。

フランシスコ・カブラル。

あの人 目が4つある。

当時 日本になかった
眼鏡をかけていたことから

四ツ目のカブラルと呼ばれていました。

ザビエルから数えて3代目の
宣教師のリーダーでした。

カブラルは 布教の拡大を図るため

次々と戦国武将への
接触を試みようとしていました。

その中で 最も有力な候補者と考えたのが
織田信長でした。

「信長は もともと弱小国の武将だったが

鋭い判断力と慎重さを持っていた」。

信長は 現在の愛知
尾張の小さな領主から

急速に勢力を広げていました。

1572年 カブラルは初めて

信長の屋敷を訪問します。

信長殿に布教活動を後押しして頂きたい。

考えておこう。

布教のため 信長に近づいたカブラル。

この出会いが
日本の歴史を大きく動かしていきます。

3年後の1575年。

信長が天下統一に向け 大きく飛躍した
長篠の戦いです。

鉄砲をとれ~!

構え~!

立ちはだかるのは
戦国最強と恐れられた武田家。

勇猛果敢な騎馬軍団を率いていました。

これまで長篠の戦いは

信長の鉄砲と 武田の騎馬の戦いだと
いわれてきました。

ところが 武田家の古文書によれば

武田側にも鉄砲隊がいたことが
確認できます。

長篠の戦いは

鉄砲対鉄砲の戦いでもあったのです。

何が両者の勝敗を分けたのか?

長篠の戦いがあった合戦場の跡地です。

(金属探知機の音)

去年 戦いの痕跡を探すため

50人がかりの大規模な調査が
行われました。

戦国時代の弾丸です。

合戦当時の陣形や見つかった場所から

信長軍の鉄砲玉と推定されました。

この鉄砲玉の素材は 鉛。

当時の日本では 極めて貴重な金属でした。

鉛の成分を解析した結果

意外な事実が分かりました。

信長軍の弾丸は
海外で産出された鉛で出来ていたのです。

詳しい産地を特定するため

世界各地の鉱山が
徹底的に調査されました。

候補の一つとして
浮かび上がってきたのは

日本から4, 000km離れた
東南アジアのタイです。

首都 バンコクから車で4時間。

タイ西部の山奥にある鉱山です。

坑道の総距離は 50km。

アジア有数の巨大鉱山。

鉛の埋蔵量は 300万トン。

鉄砲玉に換算すると

20億発に相当する
巨大な鉛の生産地でした。

光り輝く部分が 鉛です。

分子レベルでの分析によって

この鉱山の鉛と 長篠の戦いで使われた
弾丸の成分が 一致しました。

海外の鉱山まで伸びる
この鉛のネットワークこそが

信長の勝因の一つだったのです。

今回 撮影が許された宣教師の記録。

鉛が ある男の命令によって

日本に売られていたことが
記されていました。

それは あの カブラル。

四ツ目の異名をとる
宣教師のリーダーです。

カブラルは
布教を後押ししてもらうため

軍事物資である鉛の取り引きを
行っていたと考えられています。

日本に軍事物資を運んだのは

大航海時代を切り開いた
ポルトガルの交易船でした。

これは 沈没した交易船の調査の映像です。

見つかったのは 大量の弾丸。

そして ヨーロッパで作られた鉄砲。

戦に欠かせない軍事物資を通じて

宣教師は
戦国武将の懐に深く食い込んでいました。

そのことが 戦国日本の運命を
大きく左右していたのです。

長篠の戦いで 宣教師の力を借りて
宿敵 武田家を打ち倒した信長。

それにしても
聖職者の宣教師たちが なぜ

軍事物資を利用してまで
布教を行っていたのか?

その背景にあったのは
世界の覇権を巡る争いでした。

片や スペインなど
ヨーロッパの強大なキリスト教勢力。

片や オスマン帝国に代表される
イスラーム教の勢力。

両者が激突し
キリスト教勢力が勝利を収めます。

この時代 キリスト教勢力は

全世界を
その支配下に置こうとしていました。

例えば インド・ゴアでは 武力で制圧。

住民を強制的に
キリスト教に改宗させました。

改宗を徹底させるため
こうした拷問まで行われました。

柱には 縄の跡。

石が削られるほど
頻繁に使われたことを うかがわせます。

そうした中
日本にやって来た宣教師たちは

軍事物資の取り引きを通じて

天下統一にまい進する信長と
タッグを組んだのです。

しかし その前に…

大きな壁が立ちはだかります。

それが 仏教勢力。

戦国時代 仏教勢力の中心となったのは

大坂の石山本願寺でした。

天下統一を目指す信長の
最大の敵となり

10年に及ぶ死闘を繰り広げます。

石山本願寺は
各地の大名と連携し

信長包囲網を形成。

その勢力は 信長軍を
はるかに しのいでいました。

この状況を覆そうとしたのが
信長と手を組む宣教師でした。

布教の妨げになる 仏教勢力を排除し

日本人を改宗させようとしていました。

日本をキリスト教の国に
作り変えようとした

宣教師 カブラル。

そのための具体的なプランが
史料に記されていました。

「信長をキリスト教に改宗させる」。

「そうすれば」…。

天下統一を望むのなら
デウス様に仕えるのです。

何? わしに キリシタンになれと申すか。

信長自身は 改宗しなかったものの

一族や家臣が
キリシタンになることは認めます。

信長は 何を考えていたのか。

手がかりとなる記録が
残されていました。

宣教師の情報網がつかんだ

信長と家臣 豊臣秀吉の会話です。

「秀吉は言った」。

上様 申し上げたいことが。

何じゃ。

宣教師のことです。

やつらは 日本を征服するため

この地まで来ておるに違いありませぬぞ!

案ずるな…

やつらの野望には
いまだ時がかかるであろう。

信長は 宣教師の計画を察知しながらも

軍事物資を得るため
手を組み続けたと考えられています。

一方の宣教師は
仏教勢力を倒す策を巡らせていました。

キリスト教の布教に
大きな貢献をした人々を祭る

スペインの教会。

カギを握った日本人が 描かれていました。

キリシタン大名 高山右近。

この右近こそ 仏教勢力を打ち破る
切り札でした。

右近は 石山本願寺に近い
大坂の摂津の領主。

ここが信長軍の攻撃拠点となれば
一気に有利になります。

記録によれば
石山合戦が激しさを増す 1578年

宣教師は 右近に接触。

苦戦を続ける信長を支援するよう
説得していました。

石山合戦が どんなに重要か
分かっておられるのですか?

右近は 信長軍に合流することを
決断します。

それがし デウス様の導きに従うのみ。

これで大局が動き出す。

かかれ!

(一同)お~!

右近を中心に 1万人を超える
キリシタンの援軍を得た 信長軍。

最大の敵を ついに破り
天下統一へ まい進してゆくのです。

そうした中
未曽有の戦争多発地帯となっていった

戦国時代の日本。

宣教師は 予想を超える
日本の軍事的発展を

驚きをもって記しています。

最新の調査から 日本で

空前の軍事革命が起きていたことが
分かってきました。

その最大の変化は
ヨーロッパから伝わった鉄砲。

国産化が進む中
急速な技術革新が生じていました。

日本に鉄砲が伝来してから
どんな変化が起きたのか比較します。

放射線で透視した 銃身の断面。

黒い部分は 鉄に含まれる不純物です。

海外産と比べ 国産は
不純物が均等に分散しています。

これは 銃身の強度が
安定していることを示しています。

その秘密は 鍛造と呼ばれる
技法にありました。

この技は 日本刀の製作で
磨かれたものでした。

鉄を鍛え上げることで
強度を飛躍的に高めたのです。

進化した国産銃の威力が発揮されるのは
弾を発射する時。

火薬を大量に詰めても
銃身がゆがむことはなく

その爆発力を弾丸に伝えます。

(銃声)

鋼鉄製の甲冑を 容易に打ち抜く破壊力。

日本の鉄砲は ヨーロッパとは異なる

独自のイノベーションを
遂げていたのです。

更に 日本では

この進化した鉄砲の大量生産も
進められていました。

信長の直轄地だった 堺の町。

鉄砲の製造について記された
2万点の古文書が見つかりました。

注目したのは 鉄砲を作っていた
職人たちのリスト。

銃身から 台座 火蓋まで。

戦国時代には
パーツごとに分業制がとられ

鉄砲の大量生産が行われていたと
考えられています。

戦国日本にあった鉄砲の数は
30万丁といわれ

世界一の銃大国になったとされています。

(銃声)

世界でも 突出した
軍事国家となった戦国日本。

宣教師たちは
信長の天下統一を後押しする一方で

日本の軍事力を詳しく分析しています。

日本は 強大な軍事力を持っている。

日本の力は利用する価値がある。

全世界を キリスト教の国にしようとした
宣教師たち。

戦国日本を より大きな世界戦略に
組み込もうとしていたのです。

信長の城 安土城。

絶大な権力の象徴です。

この青い屋根瓦。

これと同じ
青い瓦を特別に許されていたのが

安土城下に建てられた 神学校です。

信長と宣教師たちが

どれほど深い関係になっていたかが
うかがえます。

その裏で ひそかに征服計画を抱いていた
宣教師たち。

彼らの計画を加速させることが
ヨーロッパで起きました。

震源地は…

スペイン。

征服王と呼ばれた フェリペ2世が
ポルトガルを併合したのです。

これは 世界情勢を
大きく塗り替える出来事でした。

当時スペインは 無敵艦隊と呼ばれる
130隻の軍艦を持ち

世界有数の海軍力を
誇りました。

そのスペインが
ポルトガルの広大な植民地を飲み込み

巨大な帝国が誕生したのです。

フェリペ2世が下した命令です。

アジアの征服に尽力せよ。

このことが 戦国日本を
大きく揺るがすのです。

解読が進む 宣教師の機密文書。

スペイン帝国に宛てた報告書が
残されていました。

浮かび上がってきたのは
アジア征服に向けた 壮大な計画です。

「我々の最大の目標は
中国の征服である。

それは」…。

当時 明と呼ばれた中国は

アジア最大の国土と人口を
抱えていました。

キリスト教が
アジアを席けんするためには

この国の征服が不可欠と
考えられていました。

カギは 世界屈指の
戦国日本の軍事力でした。

アジア征服のため
日本の軍事力を利用しようとする宣教師。

宣教師がもたらす軍事物資を使って
天下統一を目指す信長。

しかし 両者の蜜月は
終わりに近づいていきます。

信長の言葉です。

「われ 神にならん」。

天下統一を目前に 自信を深めた信長。

キリスト教の神ではなく

自分こそ この世の支配者だと
宣言したのです。

信長は意のままにはならない。

戦略の立て直しを迫られた宣教師。

新たな計画に乗り出していました。

その舞台は
中国に近く キリシタン大名の多い九州。

宣教師は 長崎港一帯を
キリシタン大名から譲り受け

支配下に置きます。

更に 最新兵器
大砲を九州に持ち込み

軍事力の強化を
図ろうとしていました。

このころ 日本のキリシタンは
九州を中心に 10万人に増加。

信長の想像を超えた
大きな勢力へと成長していました。

貴様ら…

この国で何をしようとしておるのじゃ。

宣教師の真意を問いただす信長。

記録によれば
宣教師は こう言い放っていました。

何?

それぞれの目的のため
駆け引きを繰り広げてきた宣教師と信長。

緊張をはらんだ両者の関係は
突然の事件によって断ち切られます。

京都にいた信長が
家臣の軍勢に襲われたのです。

この時の様子を
宣教師が つぶさに記録していました。

(銃声)

信長の野望は 砕け散りました。

これまでか…。

信長の死後も 宣教師の計画が
止まることはありませんでした。

信長の後継者を決める山崎の戦い。

宣教師が勝利すると睨んだのは
豊臣秀吉でした。

宣教師は 高山右近ら
キリシタン大名に対し

秀吉側に加わるよう
働きかけていました。

追え~!
(一同)お~!

宣教師の狙いは的中。

秀吉は勝利し 信長の後継者となります。

そして 政権中枢には

多くのキリシタン大名が
名を連ねたのです。

秀吉の時代
日本のキリシタンは 30万人を突破。

新たな政権のもとで
宣教師たちの計画が加速していくのです。

ヨーロッパから伝わった鉄砲を改良し
独自の技術革新を起こした戦国日本。

鉄砲の強大な力は

信長を戦国の覇者へと押し上げました。

ところが…。

この後 世界帝国 スペインと

それを後ろ盾とする宣教師たちは

信長の死後も アジア征服計画を続行します。

最大の目標である 中国。

高価な陶磁器や絹織物
金や銀などの貴金属にあふれ

世界一豊かな国でした。

激動の世界と向き合う戦国日本。

物語は いよいよ
クライマックスへと向かいます。

日本の軍事力を利用した中国征服計画。

その実現のため 宣教師は
秀吉に働きかけます。

秀吉殿は
日本を平定したあとは どのように…?

明国への出兵。

天下統一を目前にした秀吉。

次なる目標と語ったのは

くしくも 宣教師の狙いと同じ
明への遠征でした。

宣教師は この機会を見逃しませんでした。

われらの軍船をお貸ししましょうか。

キリシタンも 意のままに動きましょう。

1592年 中国征服の足掛かりにしようと
始まったのは 朝鮮出兵。

キリシタン大名を先陣とする大部隊が
海を渡りました。

(銃声)

日本軍の猛攻撃を受けた朝鮮軍は
劣勢を強いられます。

これに対し 中国の明が
朝鮮に大規模な援軍を派遣。

戦いは激化し

推定で74万人が動員される
大戦争になりました。

この時 最前線で戦う
キリシタン大名の犠牲が急増。

しかし これは 秀吉にとって
戦略の一環だったと考えられています。

拡大を続けるキリシタン勢力を脅威と捉え
その力を削減しようとしていた秀吉。

これに先立ち 日本では
バテレン追放令が出され

キリスト教の布教も禁じられていました。

宣教師の思惑とは
かけ離れた形で進んでいく戦国日本。

更に 宣教師たちにとって
想定外の事態が起きます。

スペインの植民地 フィリピン。

宣教師は 現地からの情報で

秀吉の野心が フィリピンにも
向けられたことを知ったのです。

秀吉が狙ったのは スペインの富。

征服王 フェリペ2世の
植民地を奪うことで

朝鮮出兵の戦費を賄おうとしていました。

スペインの富を手に入れよ!

そして 明国を討ち滅ぼすのじゃ。

(一同)はっ!

フィリピンの状況を知った
ヨーロッパの超大国 スペイン。

一触即発に備え 警戒を強めます。

戦国時代
ヨーロッパから伝わった兵器を進化させ

世界屈指の軍事国家となった日本。

その強大な力は制御を失い

ヨーロッパとアジアが激突する
世界戦争の危機を招いていたのです。

しかし 1598年
緊迫した情勢は一転します。

スペインのフェリペ2世が急死。

その5日後 日本で秀吉が死去。

日本軍は 朝鮮半島から撤退を決定します。

宣教師が抱いた中国征服計画は
幕を閉じたのです。

大いなる野望を抱いた者たち。

フェリペ2世 豊臣秀吉 そして 宣教師。

ヨーロッパと日本の軍事 宗教が
複雑に絡み合った この時代。

地球規模の
ダイナミックな歴史が動き出し

世界を巻き込んだ
大戦争の危機に直面したのです。

この後 新たなプレーヤーを迎える

戦国時代の日本。

ヨーロッパの新興国 オランダ。

そして 徳川家康。

日本は
世界の覇権争いのカギを

握るようになります。

戦国日本は 世界の歴史を
どのように動かしていったのでしょうか。

フェリペ2世の死後 超大国 スペインは

世界各地で行っていた征服戦争が
裏目に出て 国力が衰退。

それとともに オランダやイギリスなど
新興国が台頭します。

新たに勃発した世界の覇権を巡る争い。

その最前線に
戦国日本のサムライがいたことが

最新研究から明らかになってきました。

日本の進化した武器を携えた傭兵です。

あまたの日本人傭兵が
ヨーロッパ諸国の植民地争奪戦に参加。

戦国日本は 世界史を動かしていたのです。

そこで 重大な役割を果たしたのが
日本で採れる豊かな銀でした。

このジャパン・シルバーの力によって

世界経済の主導権を握ろうとする
ヨーロッパの大国。

面白い。

家康と手を結んだ オランダ。

豊臣家とつながる スペイン。

決戦の舞台は
戦国最大にして最後の合戦 大坂の陣。

日本とヨーロッパの覇権争いが
深く結び付いていきます。

地球規模のグローバルな視点から
新たな歴史を綴る「シリーズ戦国」。

次回は 日本と世界の歴史がクロスした
決定的な瞬間に迫ります。



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参考

参考A

NHKスペシャル 戦国~激動の世界と日本~(2)▽ジャパンシルバーを獲得せよ 2020/07/05(日) メモ
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kyoto00glo at 23:55│Comments(0)

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