2020年08月12日
国際情勢 香港 民主活動家・周庭氏ら保釈 / 中国全人代、香港議会の任期延長決定 /世界初 ロシア新型コロナワクチン承認、安全性に疑問の声も / 米・副大統領候補、初の黒人女性に
国際情勢 香港 民主活動家・周庭氏ら保釈 / 中国全人代、香港議会の任期延長決定 /世界初 ロシア新型コロナワクチン承認、安全性に疑問の声も / 米・民主党副大統領候補、初の黒人女性に
香港で国家安全法に違反した疑いで10日に逮捕された「民主の女神」とも呼ばれる民主活動家・周庭氏らが保釈されました。
「政治的な目的による摘発で、ばかげている」(民主活動家 周庭氏) 11日深夜に保釈された周庭氏はこのように述べ、香港警察の対応を批判。
「なぜ逮捕されたか分からない。
これまでで最も怖かった」と心境を語りました。
警察は、周氏が7月以降に、SNSを通じて外国勢力と共謀し中国への制裁や敵対行為を呼びかけたとみていて、周氏は当局にパスポートを押収されたことも明らかにしました。
その後、中国共産党に批判的な論調で知られる香港紙「リンゴ日報」の創業者で、周氏と同じ日に逮捕された民主派の重鎮・黎智英氏も保釈されました。
香港では国家安全法違反の疑いで10日だけで周氏ら10人が逮捕され、国際社会からは非難の声が相次いでいて、菅官房長官も11日の会見で重大な懸念を示しました。
「私たちは日本側に現実を見極め立ち位置を修正し、いかなる形による中国への内政干渉も停止するよう促す」(中国外務省 趙立堅報道官) これに対し、中国外務省の趙立堅報道官はこのように述べ反発しました。
/////
中国全人代、香港議会の任期延長決定
中国の全人代=全国人民代表大会の常務委員会は、香港の立法会議員選挙の延期に伴い、議員の任期も延長することを決めました。
全人代の常務委員会は8日から行われ、香港の立法会議員選挙が1年延期されたことに伴う議員の任期など、空白期間への対応が審議されていました。
国営の新華社通信によりますと、最終日の11日、立法会議員の任期を延長することが決まったということです。
立候補の資格を取り消された民主派の現職議員4人については触れられていませんが、香港メディアは「全員の任期が延長され、4人も含まれる」との見方を伝えています。
4人を排除しなかったのは、香港国家安全維持法違反などの疑いで民主活動家の周庭氏ら10人が逮捕されたことに対する国際的な批判をかわす狙いがあるとみられます。
/////
世界初 ロシア新型コロナワクチン承認、安全性に疑問の声も
ロシアのプーチン大統領が、世界に先駆け新型コロナウイルスのワクチンが国内で承認されたことを明らかにしました。しかし、安全性には疑問の声も出ています。
「けさ、世界で初めて新型コロナウイルスのワクチンが承認されました」(ロシア プーチン大統領) プーチン大統領は、11日、ロシアで世界で初めて新型コロナウイルスのワクチンが承認され、自分の娘が臨床試験を受けたことも明らかにしました。
娘は接種後、「38度の熱が出て、2回目の接種の後も少し熱があったものの、その後は問題はなかった」ということです。
このワクチンは通常の3段階の臨床試験のうち、最終段階を終えずに2段階の試験のみで承認されました。
このため、ロシア国内の製薬業界からは接種する人を「危険にさらす」と懸念の声が出ていて、欧米からも安全性に疑問の声があがっています。
/////
ベラルーシ大統領選挙、反政権派の有力候補が国外に
旧ソビエト、ベラルーシの大統領選挙で現職のルカシェンコ大統領の6選が確実となる中、選挙の不正を訴えていた反政権派の有力な候補者が一時拘束され、現在は国外にいることが明らかになりました。
9日行われたベラルーシの大統領選挙では「ヨーロッパ最後の独裁者」と呼ばれるルカシェンコ大統領が80%以上の票を獲得したとする中間集計を中央選管が発表し、ルカシェンコ氏の6選が確実となっています。
しかし、反政権派の事実上の統一候補で政治経験のない主婦・チハノフスカヤ氏が70%以上を得票したとする出口調査もあり、チハノフスカヤ氏の陣営側が「選挙結果は受け入れられない」として、中央選管に異議申し立てを行っていました。
こうした中、リトアニアの外相が、チハノフスカヤ氏は一時拘束されたものの、その後出国し、現在はリトアニアで安全な場所にいると明らかにしました。
チハノフスカヤ氏はネット上に投稿された動画で「自分の決断だ」としているものの、チハノフスカヤ氏の陣営は、投票の前日に拘束されたキャンペーンスタッフの責任者の解放を可能にするためにはチハノフスカヤ氏が国外に出なければならず「それ以外の選択肢がなかった」としています。
政権側から、国外追放された可能性もあり、9日からベラルーシで続いている選挙の不正を訴える抗議行動がさらにエスカレートする可能性もでてきています。
/////
米・民主党副大統領候補、初の黒人女性に
11月のアメリカ大統領選挙で民主党の候補指名が確実になっているバイデン氏は、副大統領候補としてカマラ・ハリス上院議員を選んだと発表しました。黒人女性が副大統領候補になるのは、アメリカ史上初めてです。
バイデン氏は11日、ツイッターで、副大統領候補としてカマラ・ハリス上院議員を選んだと発表しました。
バイデン氏はハリス氏について、「大胆不敵な闘士で、この国で公のために仕事をする最も優れた人物の一人だ」と評価しています。
ハリス氏は、ジャマイカ人の父とタミル系インド人の母のもとに生まれた移民2世で、55歳。
サンフランシスコの地方検事やカリフォルニア州の司法長官を経験した後、2016年に連邦議会上院議員に当選。
2019年には大統領を目指して民主党の候補者レースに出馬し、全米での知名度と人気を上げていました。
バイデン氏が大統領選挙に当選すれば、アメリカ史上初の女性副大統領が誕生することになります。
/////
米民主党の副大統領候補に黒人女性のカマラ・ハリス上院議員
ことし秋のアメリカ大統領選挙で政権奪還を目指す野党・民主党のバイデン前副大統領は、副大統領候補に女性で黒人のカマラ・ハリス上院議員を選んだと発表しました。バイデン氏が大統領選挙で勝利すれば、ハリス氏がアメリカ史上初めての女性の副大統領になります。
11月のアメリカ大統領選挙で政権奪還を目指す野党・民主党のバイデン前副大統領は11日、副大統領候補に西部カリフォルニア州選出で黒人のカマラ・ハリス上院議員を選んだと発表しました。
ハリス氏は55歳。父親はジャマイカ出身、母親はインド出身で移民の2世として生まれ育ちました。
民主党の大統領候補に名乗りを上げ、一時は支持率を大きく上げましたが資金不足などにより、予備選挙が本格化するのを前に撤退しました。
バイデン氏はことし3月、副大統領候補に女性を選ぶと表明し、その後、黒人男性の死亡事件を受けた人種差別への抗議の高まりを受け、白人以外の候補を選ぶのではないかとみられていました。
またバイデン氏が77歳と高齢なことから、大統領に就任しても1期4年になる可能性があるとして、今回の副大統領候補は民主党の次世代の有力な指導者になるという見方からも大きな関心を集めていました。
バイデン氏とハリス氏は今月17日から開かれる民主党の全国党大会で正副大統領候補に正式に指名され、11月の本選挙でトランプ大統領とペンス副大統領に挑むことになります。
ハリス上院議員とは
カマラ・ハリス氏はカリフォルニア大学のロースクールを卒業後、検察官となり、2011年からの6年間は女性として初めて、カリフォルニア州の司法長官を務めました。
ハリス氏はみずからを「革新的な検察官」と呼び、薬物犯罪で逮捕された若者を収監せず職業訓練などで更生させる施策に取り組んだほか、警察官にボディカメラの着用を義務づける警察改革などを進めてきました。
2016年にカリフォルニア州の上院議員に選出され、現在は1期目ながら民主党若手議員として評価されています。
トランプ政権の強硬な移民政策を批判し、政権が廃止を求めている不法移民の子どもに対する救済制度を維持するべきだと訴えています。
大統領選挙では去年1月に民主党の予備選挙に立候補し、討論会でバイデン氏の人種問題をめぐる過去の発言や政策を厳しく批判して一時、支持率を上げました。
ハリス氏は検察官や司法長官としての経歴を評価される一方、抜本的な警察改革は実現できていないという批判もあり、その後の予備選挙では伸び悩んで撤退を決め、バイデン氏支持を打ち出していました。
ハリス氏 「光栄に思う」
バイデン氏から副大統領候補に指名されたことを受け、ハリス氏はみずからのツイッターに「バイデン氏はアメリカ国民を団結させることができる。なぜなら、彼は私たちのために戦ってきたからだ。大統領として、彼は私たちが理想とするアメリカを築くだろう」と書き込み、バイデン氏こそが分断されたアメリカ社会を1つにできるとたたえました。
そのうえで「副大統領候補として彼に加わることを光栄に思う。彼を私たちの最高司令官にするために全力を尽くす」と投稿し、バイデン氏とともに11月の大統領選挙で政権奪還を目指す考えを強調しました。
バイデン前副大統領 「国を率いていく上で最適の人物」
バイデン前副大統領は副大統領候補にハリス上院議員を選んだ理由について、支持者にあてた電子メールで「トランプ大統領とペンス副大統領と戦い、来年から国を率いていく上で最適の人物だからだ」と説明しています。
その理由として、「ハリス氏は、新型コロナウイルスによる人々の痛みを理解し、国を1つにまとめることができ、副大統領に就任すれば、直ちに職務に取り組める」として、その人格や能力をたたえています。
また、みずからがオバマ前大統領の副大統領を務めた経験を生かし、「政治的な配慮ではなく、統治するための決断だった」と強調しました。
さらに人選の背景には、ハリス氏と知り合いだった亡くなった長男のボー・バイデン氏が生前高く評価していたことが大きかったことも明かしました。
副大統領候補選定の経緯
副大統領候補の選定が本格化したのはことし4月。大統領候補の指名を確実にしたバイデン氏は陣営の幹部やみずからに近い議員からなる選考委員会を立ち上げ、候補者との面接などを進めてきました。
バイデン氏はこれに先立ち3月に「私が大統領になったら政権はアメリカを映し出すものにし、副大統領に女性を選ぶことを誓う」と述べ、女性を選ぶことを明言しました。
その後、5月の黒人男性の死亡事件を受けて、人種差別への抗議デモが広がり警察改革を求める声が高まると、バイデン氏が候補を白人以外から選ぶのではないかという観測が強まりました。
具体的には、カリフォルニア州の司法長官を務めた経験があるハリス上院議員、連邦議会の黒人議員連盟の会長で警察改革を訴えるバス下院議員、フロリダ州の都市の警察トップを務めたデミングス下院議員、バイデン氏とともにオバマ政権を支えたライス元大統領補佐官らが有力視されました。またイラク戦争で両足を失った退役軍人で子育てをしながら議員活動を続け、女性の人気も高いアジア系のダックワース上院議員や左派のウォーレン上院議員の名前もあがりました。
副大統領候補は英語で「伴走者」とも呼ばれ、残り3か月の選挙をバイデン氏とともに戦い、大統領選挙の行方にも一定の影響を与えます。
バイデン氏は繰り返しみずからの政権を「アメリカを映し出すものになる」と表現していて、バイデン氏としては副大統領候補の選定を通してアメリカの多様性を尊重し、アメリカを融和に導く大統領候補だと印象づけたいねらいもあると見られます。
当選すれば初の女性副大統領 民主党次世代のリーダーの可能性も
今回の副大統領候補者選びはバイデン氏が当選すれば初めての女性副大統領になることに加え、民主党の次世代のリーダーになる可能性もあるとして注目されていました。
その理由の一つがバイデン氏の年齢です。バイデン氏は現在77歳、大統領に当選した場合、就任時には78歳と、アメリカ史上、最も高齢の大統領となります。
バイデン氏には健康問題への不安を指摘する声もあり、次の大統領選挙のころには81歳となるため、大統領になっても1期4年で次の世代に引き継ぐのではないかという見方があります。
バイデン氏自身、ことし3月、民主党の若手の有力議員らを前にみずからを次世代のリーダーとの「懸け橋だ」と表現しています。
また副大統領は大統領が職務を遂行できなくなった場合、その任を引き継ぐ継承順位の1位となるうえ、女性としては史上初めてとなるため、ハリス氏は次の大統領選挙で女性初の大統領の誕生に向けた道を開く有力候補になる可能性があります。
それだけに今回の副大統領候補選びは今後のアメリカ政治を占う選択としても注目されていました。
トランプ大統領 「アメリカにふさわしくない」2人を激しく攻撃
バイデン前副大統領が副大統領候補にカマラ・ハリス上院議員を選んだことを受けて、トランプ大統領は早速ツイッターにバイデン氏とハリス氏を批判する映像を投稿しました。
この中では、「民主党の予備選で有権者はハリス氏を見限った。しかし、バイデンは違った。頭がよくないからだ。『のろまなジョー』と『にせものカマラ』は完全なペアだ。アメリカにふさわしくない」として2人を激しく攻撃しています。
また、トランプ陣営も声明を発表し、「バイデン氏は穏健派ではない。増税したうえで、警察の予算をカットし、国境を開くことを約束して過激な暴徒に国を委ねようとしている。投票でアメリカ人はバイデン・ハリスよりもアメリカ第1とするトランプ大統領とペンス副大統領をはっきりと選ぶだろう」として早速、非難の度合いを強めています。
/////
kyoto00glo at 06:00│Comments(0)