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2019年04月13日

<東大合格後の「差別?」>上野千鶴子の東大祝辞が「意義深い」と話題、トレンド入りも (東大入学式の祝辞全文)

<東大合格後の「差別?」>上野千鶴子の東大祝辞が「意義深い」と話題、トレンド入りも (東大入学式の祝辞全文)


4月12日に開かれた東京大学・入学式での上野千鶴子氏(70)の祝辞が話題を呼んでいる。上野氏は日本を代表するフェミニストの1人であり、「女性学」や「ジェンダー研究」の第一人者だ。

 上野氏は祝辞の冒頭で、昨年発覚した東京医科大の医学部入試での女子差別に言及。“息子は大学まで、娘は短大まで”という親たちの考えにもふれ、「社会に出れば、もっとあからさまな性差別が横行しています」と指摘した。

さらに「がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています」と話した上野氏。「がんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください」として、こう呼びかけた。

「あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください」

上野氏は「ようこそ、東京大学へ」と結んだ。

努力が報われたことで得たものを、他者に還すよう新入生に語りかけた上野氏。Twitterでは「上野千鶴子」がトレンド入りするほどの反響を呼び、賛同する声が上がっている。

《「努力が許された今までの環境は当たり前に得られるものでなく1つの特権だ」という示唆は新入生にとって意義深いと思う》
《上位の大学に限らず入るには周囲の環境によるものがとても大きい。それを知らない人が多すぎる。そして大学では知る事自体ではなく考えられてその先に行く力をつける場だと思う》
《大学新入生が何をどういった方向で学んで考えればよいのかよくわかる。もちろん東大以外の大学新入生にも役に立つ》

自らの足元を見つめ直すのも、いいかもしれない。

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2019年04月12日
東大入学式の祝辞全文  上野千鶴子さん「社会には、あからさまな性差別が横行している。東大もその一つ」


「あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください」

4月12日、東京大学の2019年度入学式が日本武道館で行われた。

祝辞には、女性学のパイオニアである社会学者の上野千鶴子名誉教授が登壇。

2018年に発覚した東京医科大学の性別や年齢による差別的な不正得点調整について言及し、性差別について、がんばりが報われない社会、そして「知」とは何かについて新入生に語りかけた。 


 女子学生の置かれている現実と、研究者の女性比率

「ご入学おめでとうございます。あなたたちは激烈な競争を勝ち抜いてこの場に来ることができました」


上野さんは、祝辞の冒頭、そう言って新入生を歓迎した。

続けて「その選抜試験が公正なものであることをあなたたちは疑っておられないと思います。もし不公正であれば、怒りが湧くでしょう」と話し、2018年の東京医科大学の不正入試問題について触れた。

 そして全国の医学部医学科でも、男子学生のほうが合格率が高いことや、東京大学でも入学者の女性比率は長きにわたって「2割の壁」を越えない現実を紹介。2019年度は18.1%と前年度を下回ったことも言及した。

一方で、他学部では理工系も文系も女子学生のほうが優位にあることや、女性受験生の偏差値が男性受験生よりも高いことも説明。

この現実に対し「この差は成績の差ではありません。『息子は大学まで、娘は短大まで』でよいと考える親の性差別の結果です」と指摘した。

「学部においておよそ20%の女子学生比率は、大学院になると修士課程で25%、博士課程で30.7%になります。その先、研究職となると、助教の女性比率は18.2、准教授で11.6、教授職で7.8%と低下します。これは国会議員の女性比率より低い数字です」と学生だけでなく研究職の女性割合も著しく低いことにも触れた。

 そして「女性学部長・研究科長は15人のうち1人、歴代総長には女性はいません」と述べた。

「かわいい」の価値とは何か。「東大」と言えない女子学生の心情

 上野さんは、東京大学で学ぶ学生が過ごす環境についても語った。

「他大学との合コンで東大の男子学生はもてます。東大の女子学生からはこんな話を聞きました」と切り出し、女子学生は「『キミ、どこの大学?』と訊かれたら、「東京、の、大学...」と答えるのだそうです」と話した。

続けて上野さんは「なぜ男子学生は東大生であることに誇りが持てるのに、女子学生は答えに躊躇するのでしょうか」と新入生に問いかけた。

そして「なぜなら、男性の価値と成績のよさは一致しているのに、女性の価値と成績のよさとのあいだには、ねじれがあるからです」と言い、「かわいい」という価値観について次のように語った。

「女子は子どものときから『かわいい』ことを期待されます。ところで『かわいい』とはどんな価値でしょうか?愛される、選ばれる、守ってもらえる価値には、相手を絶対におびやかさないという保証が含まれています。だから女子は、自分が成績がいいことや、東大生であることを隠そうとするのです」

また、東京大学の女子学生が入れず、他大学の女子学生のみが加入できる東京大学の男子サークルが半世紀以上続いている現状についても説明。

そして次のように警鐘を鳴らした。

「大学に入る時点ですでに隠れた性差別が始まっています。社会に出れば、もっとあからさまな性差別が横行しています。東京大学もまた、残念ながら例外ではありません」

 「あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください」

 熾烈な受験を勝ち抜き東京大学へ入学した新入生に向け、努力の結実についても上野さんは次のように話した。

「がんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください」

そして「あなたたちが今日『がんばったら報われる』(と)思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです」と念を押した。

続けて、「世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと...たちがいます。がんばる前から、『しょせんおまえなんか』『どうせわたしなんて』とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます」と語り、こう訴えた。

「あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください」

知とは何か

上野さんは、祝辞の最後、知とは何かについても触れた。

受験のように正解の分かる知識ではなく、未知への挑戦に背中を押した。

「大学で学ぶ価値とは、すでにある知を身につけることではなく、これまで誰も見たことのない知を生み出すための知を身に付けることだと、わたしは確信しています」と話し、「ようこそ、東京大学へ」と結んだ。

【平成31年度東京大学学部入学式 祝辞全文】

ご入学おめでとうございます。あなたたちは激烈な競争を勝ち抜いてこの場に来ることができました。

その選抜試験が公正なものであることをあなたたちは疑っておられないと思います。もし不公正であれば、怒りが湧くでしょう。が、しかし、昨年、東京医科大不正入試問題が発覚し、女子学生と浪人生に差別があることが判明しました。文科省が全国81の医科大・医学部の全数調査を実施したところ、女子学生の入りにくさ、すなわち女子学生の合格率に対する男子学生の合格率は平均1.2倍と出ました。

問題の東医大は1.29、最高が順天堂大の1.67、上位には昭和大、日本大、慶応大などの私学が並んでいます。1.0よりも低い、すなわち女子学生の方が入りやすい大学には鳥取大、島根大、徳島大、弘前大などの地方国立大医学部が並んでいます。ちなみに東京大学理科3類は1.03、平均よりは低いですが1.0よりは高い、この数字をどう読み解けばよいでしょうか。統計は大事です、それをもとに考察が成り立つのですから。

女子学生が男子学生より合格しにくいのは、男子受験生の成績の方がよいからでしょうか?全国医学部調査結果を公表した文科省の担当者が、こんなコメントを述べています。

「男子優位の学部、学科は他に見当たらず、理工系も文系も女子が優位な場合が多い」

ということは、医学部を除く他学部では、女子の入りにくさは1以下であること、医学部が1を越えていることには、なんらかの説明が要ることを意味します。

事実、各種のデータが、女子受験生の偏差値の方が男子受験生より高いことを証明しています。まず第1に女子学生は浪人を避けるために余裕を持って受験先を決める傾向があります。第2に東京大学入学者の女性比率は長期にわたって「2割の壁」を越えません。今年度に至っては18.1%と前年度を下回りました。

統計的には偏差値の正規分布に男女差はありませんから、男子学生以上に優秀な女子学生が東大を受験していることになります。第3に、4年制大学進学率そのものに性別によるギャップがあります。

2016年度の学校基本調査によれば4年制大学進学率は男子55.6%、女子48.2%と7ポイントもの差があります。この差は成績の差ではありません。「息子は大学まで、娘は短大まで」でよいと考える親の性差別の結果です。

最近ノーベル平和賞受賞者のマララ・ユスフザイさんが日本を訪れて「女子教育」の必要性を訴えました。

それはパキスタンにとっては重要だが、日本には無関係でしょうか。「どうせ女の子だし」「しょせん女の子だから」と水をかけ、足を引っ張ることを、aspirationのcooling downすなわち意欲の冷却効果と言います。マララさんのお父さんは、「どうやって娘を育てたか」と訊かれて、「娘の翼を折らないようにしてきた」と答えました。そのとおり、多くの娘たちは、子どもなら誰でも持っている翼を折られてきたのです。

そうやって東大に頑張って進学した男女学生を待っているのは、どんな環境でしょうか。他大学との合コン(合同コンパ)で東大の男子学生はもてます。

東大の女子学生からはこんな話を聞きました。「キミ、どこの大学?」と訊かれたら、「東京、の、大学...」と答えるのだそうです。なぜかといえば「東大」といえば、退かれるから、だそうです。

なぜ男子学生は東大生であることに誇りが持てるのに、女子学生は答えに躊躇するのでしょうか。なぜなら、男性の価値と成績のよさは一致しているのに、女性の価値と成績のよさとのあいだには、ねじれがあるからです。

女子は子どものときから「かわいい」ことを期待されます。ところで「かわいい」とはどんな価値でしょうか?愛される、選ばれる、守ってもらえる価値には、相手を絶対におびやかさないという保証が含まれています。だから女子は、自分が成績がいいことや、東大生であることを隠そうとするのです。

東大工学部と大学院の男子学生5人が、私大の女子学生を集団で性的に凌辱した事件がありました。

加害者の男子学生は3人が退学、2人が停学処分を受けました。この事件をモデルにして姫野カオルコさんという作家が『彼女は頭が悪いから』という小説を書き、昨年それをテーマに学内でシンポジウムが開かれました。

「彼女は頭が悪いから」というのは、取り調べの過程で、実際に加害者の男子学生が口にしたコトバだそうです。この作品を読めば、東大の男子学生が社会からどんな目で見られているかがわかります。

東大には今でも東大女子が実質的に入れず、他大学の女子のみに参加を認める男子サークルがあると聞きました。

わたしが学生だった半世紀前にも同じようなサークルがありました。それが半世紀後の今日も続いているとは驚きです。この3月に東京大学男女共同参画担当理事・副学長名で、女子学生排除は「東大憲章」が唱える平等の理念に反すると警告を発しました。

これまであなたたちが過ごしてきた学校は、タテマエ平等の社会でした。偏差値競争に男女別はありません。ですが、大学に入る時点ですでに隠れた性差別が始まっています。社会に出れば、もっとあからさまな性差別が横行しています。東京大学もまた、残念ながらその例のひとつです。

学部においておよそ20%の女子学生比率は、大学院になると修士課程で25%、博士課程で30.7%になります。その先、研究職となると、助教の女性比率は18.2、准教授で11.6、教授職で7.8%と低下します。これは国会議員の女性比率より低い数字です。女性学部長・研究科長は15人のうち1人、歴代総長には女性はいません。

こういうことを研究する学問が40年前に生まれました。女性学という学問です。のちにジェンダー研究と呼ばれるようになりました。私が学生だったころ、女性学という学問はこの世にありませんでした。

なかったから、作りました。

女性学は大学の外で生まれて、大学の中に参入しました。4半世紀前、私が東京大学に赴任したとき、私は文学部で3人目の女性教員でした。そして女性学を教壇で教える立場に立ちました。女性学を始めてみたら、世の中は解かれていない謎だらけでした。

どうして男は仕事で女は家事、って決まっているの?主婦ってなあに、何する人?ナプキンやタンポンがなかった時代には、月経用品は何を使っていたの?日本の歴史に同性愛者はいたの?...誰も調べたことがなかったから、先行研究というものがありません。

ですから何をやってもその分野のパイオニア、第1人者になれたのです。今日東京大学では、主婦の研究でも、少女マンガの研究でもセクシュアリティの研究でも学位がとれますが、それは私たちが新しい分野に取り組んで、闘ってきたからです。そして私を突き動かしてきたのは、あくことなき好奇心と、社会の不公正に対する怒りでした。

学問にもベンチャーがあります。衰退していく学問に対して、あたらしく勃興していく学問があります。女性学はベンチャーでした。女性学にかぎらず、環境学、情報学、障害学などさまざまな新しい分野が生まれました。時代の変化がそれを求めたからです。

言っておきますが、東京大学は変化と多様性に拓かれた大学です。

わたしのような者を採用し、この場に立たせたことがその証です。東大には、国立大学初の在日韓国人教授、姜尚中さんもいましたし、国立大学初の高卒の教授、安藤忠雄さんもいました。また盲ろうあ三重の障害者である教授、福島智さんもいらっしゃいます。

あなたたちは選抜されてここに来ました。東大生ひとりあたりにかかる国費負担は年間500万円と言われています。これから4年間すばらしい教育学習環境があなたたちを待っています。そのすばらしさは、ここで教えた経験のある私が請け合います。

あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。ですが、冒頭で不正入試に触れたとおり、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。

そしてがんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。あなたたちが今日「がんばったら報われる」思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。

世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと...たちがいます。がんばる前から、「しょせんおまえなんか」「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。

あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。

そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。

女性学を生んだのはフェミニズムという女性運動ですが、フェミニズムはけっして女も男のようにふるまいたいとか、弱者が強者になりたいという思想ではありません。フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です。

あなた方を待ち受けているのは、これまでのセオリーが当てはまらない、予測不可能な未知の世界です。

これまであなた方は正解のある知を求めてきました。これからあなた方を待っているのは、正解のない問いに満ちた世界です。

学内に多様性がなぜ必要かと言えば、新しい価値とはシステムとシステムのあいだ、異文化が摩擦するところに生まれるからです。学内にとどまる必要はありません。東大には海外留学や国際交流、国内の地域課題の解決に関わる活動をサポートする仕組みもあります。

未知を求めて、よその世界にも飛び出してください。

異文化を怖れる必要はありません。人間が生きているところでなら、どこでも生きていけます。あなた方には、東大ブランドがまったく通用しない世界でも、どんな環境でも、どんな世界でも、たとえ難民になってでも、生きていける知を身につけてもらいたい。

大学で学ぶ価値とは、すでにある知を身につけることではなく、これまで誰も見たことのない知を生み出すための知を身に付けることだと、わたしは確信しています。知を生み出す知を、メタ知識といいます。そのメタ知識を学生に身につけてもらうことこそが、大学の使命です。

ようこそ、東京大学へ。
 

平成31年4月12日
認定NPO法人 ウィメンズ アクション ネットワーク理事長
上野 千鶴子

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東大入学式の祝辞は、なぜこんなに話題になったのか?


 東京大学の入学式が4月12日に行われ、来賓の東京大学名誉教授の上野千鶴子氏の祝辞が、ネット上で話題になっています(写真もネットから引用)。

その全文は東大新聞のWebに掲載されています。

このスピーチが、これだけ話題になっているのには、2つの理由があると思いました。

1つは、入学式の来賓の祝辞としてのあまりの破天荒さです。

スピーチ前半には、大学の医学部で起こった不正入試問題からの入試の公平性への疑問、そして東大生のレイプ事件から女子大学生の差別まで、長時間に渡り語っています。懸命に勉強して、「最高学府」に合格して入学してきた学生とその親御さんの面前で祝辞として語るには、ちょっと非常識だと(テキストを読む限り)思いました。

もう1つの理由は、後半の内容に共感する人が多かったからだと思います。一番心に響いたのはここです。

あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。ですが、冒頭で不正入試に触れたとおり、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。そしてがんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。

あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと…たちがいます。がんばる前から、「しょせんおまえなんか」「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。

あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。

過激な事例を引き出しながらフェミニズム理論を入学式の祝辞で振りまわす前半と、「頑張れば報われる」と思えることの有難さを噛みしめ、その頑張りを頑張れない人を助けるために使うべきという心揺さぶる後半部分のコントラスト。

もし、新入生として、あるいはその親として、リアルに日本武道館で聞いていたらどう感じたのでしょうか?もしかしたら、テキストからは伝わらない「何か」があったのかもしれません。

いずれにしても、思わずテキストを何度も読み返してしまうくらいインパクトのある祝辞であったことだけは確かです。

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東大上野千鶴子祝辞の最大のポイントは「弱者が強者になりたい思想ではなく、弱者のままでいい」


ネットやメディアで話題になっている東大上野千鶴子祝辞スピーチだけど、書き起こし文章で読むのとスピーチ動画を聞くのはまるで印象が違う。

私の感想だけど、文章で読んだ時の感動はスピーチからはまるでなく、みなさんが感動したと言っている部分もスピーチではまるで官僚的な原稿読みに終始している感覚。

ただ一点だけ。
上野千鶴子氏が感情を込めて伝えようとしていると私が感じたところがある。
それがフェミニズムのところだ。
「女性学を生んだのはフェミニズムという女性運動ですが、フェミニズムはけっして女も男のようにふるまいたいとか、弱者が強者になりたいという思想ではありません。
フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です」
ここだけはすごく感情を込めて言っているように思えて、他の部分とはまるで違い、伝えようという意思が感じられるように思うのです。

これ、すごく重要なメッセージでね、男女差別みたいなことを前段で論じていながらも、結局伝えたいことは、女性が男性のようにふるまうことではなく、弱者は弱者のままでいい、と言っている点。

これ、考えてみると前半で言っていることと論理矛盾するんじゃね、みたいな話で、ますます文章書き起こしで読むのとはまるで違い、感動スピーチには程遠いんだけど、でもこの考えってものすごく重要なわけです。

女性が男性並みに扱われたら、それは本当に平等でフェアで、女性の幸せになることなのかというと、そうではないと指摘しているのではないかと受け止められるわけです。

これって障害者論議なんかも同じで、障害者が健常者と同じように扱われたらそれはそれでかえって大変なわけで、「弱者」は弱者のままでいいと尊重されることが大事なんだということと同じだと思うのです。

ネットなんかでもよくあるけど、影響力を持ったインフルエンサーや著名人に対して、弱者が弱者の立場を利用して強者であるインフルエンサーを批判し、
「影響力のある人が無名の人をさらすのはひどい」
みたいな議論ってあるけど、それって弱者が弱者の立場を利用し、強者になることだと思うわけです。

強者のくせに弱者をいじめるなと、強者を脅迫し、自ら弱者ではなく強者になる。

でもそういうことをしてしまったら、弱者は弱者でいられなくなり、尊重されたり、優遇されたり、保護されたりすることなく、同じ立ち位置に置かれてしまう。

そうなったら「弱者」の立場は、守られなくなってしまう。

それでいいのかということを、このスピーチでも言っているのではないかと。

女性が男性扱いされることではなく、女性は女性、男性は男性と、差別ではなく、きちんと区別されて対応してもらうことがむしろフェアなはず。

理不尽な性差区別は問題にしても、性別は明らかに違うわけで、そこにはそれぞれの特質があるわけだから、同じように扱うことを求めたり、強者になることではないはず。

弱者が強者になることではなく、弱者が弱者のままで尊重されるために何をするのか。

これがものすごく大事で、このポイントを抜かして女性がどうだ男性がどうだと言ってしまうと、見かけ平等でも結果不平等になりかねない。

未だ上野千鶴子スピーチを動画で見もせず、文章書き起こしでしか見てない人はぜひ動画を見て欲しい。
前段なんて感動的スピーチどころか、官僚の答弁みたいでやや早口な部分も多く、細かい部分は文章とは違ってまるで聞き取れない。
感動どころではないんです。

でもそんなスピーチも、このフェミニズムのところだけはトーンがまるで違うように聞こえる。

ぜひ動画を見て、ああだこうだと論じてください。
まるで違う印象なはずだから。
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kyoto00glo at 06:04│Comments(0)

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EV駆動の中核部品を中国で量産 日本電産、生産増強へことし秋の策定に向け 京都府 新たな総合計画検討会