新元号決まる 「令和(れいわ)」018 良い時代を和やかに築こう新元号「令和」の手話は? 決定したばかりの表現方法を発表

2019年04月03日

京都 <万葉集ブームの光と影:「令和」>考案者浮上に「何も知らない」 新元号、万葉集研究の中西進氏 /「令和」の元ネタは中国の古典なのに…

京都 <万葉集ブームの光と影:「令和」>考案者浮上に「何も知らない」 新元号、万葉集研究の中西進氏 /「令和」の元ネタは中国の古典なのに…
令和 以外の5つの元号案


 新元号「令和」の考案者との見方が浮上している文化勲章受章者で国際日本文化研究センター名誉教授の中西進氏(89)が2日、京都市内で共同通信などの取材に応じ、考案者かと尋ねられ「私からお話しすることはありません。何も知りません」と話した。

 中西氏は「万葉集」研究の第一人者。出典元が万葉集となったことに関しては「すごくいいことです」とした上で「いい時代になればと思いますけど、私からそれ以上お話しすることはありません」と述べた。

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政府説明、実態と乖離=「令和」の選定過程

 5月1日施行の新元号「令和」について、政府は1979年制定の「元号選定手続」に基づき選定したと説明している。

 しかし、説明の内容は実態と乖離(かいり)しており、将来の改元に向け、選定過程の透明化を求める声も上がりそうだ。

 政府の表向きの説明によれば、政府が元号選定手続に基づいて動き始めたのは3月14日で、この日に元号候補の考案を有識者に初めて委嘱した。候補が集まると、菅義偉官房長官は(1)書きやすい(2)読みやすい(3)俗用されていない-など6条件を基に整理し、安倍晋三首相に報告したとされる。

 首相は4月1日のテレビ番組で、菅長官からの3月の報告の中に令和があったとし、「大変新鮮な響きがあると思った」と語った。

 残りの手続きを進めたのは4月1日。菅長官は午前9時11分に横畠裕介内閣法制局長官の意見を聴いて原案数個を選び、同11時25分までに、有識者懇談会、衆参両院正副議長からの意見聴取、全閣僚会議、閣議を一気に行った。いずれの場でも令和への異論はなかったと説明している。

 しかし、関係者の証言を総合すると、実態は異なる。

 政府は、はるか以前に有識者に元号候補の考案を非公式に依頼。100に迫る候補を官房副長官補室の金庫で代々保管し、考案者が亡くなるたびに新しい候補を補充してきた。これらを精査し、原案を六つに絞り込んだのは4月1日ではなく先週だった。

 さらに、首相は2月以前に元号候補を見せられ、意中の元号案を事前に固めていたのではないかとの見方が政府内では強い。令和に異論はなかったとの説明に反し、野党出身の郡司彰参院副議長が、意見聴取の場で「季語の入った万葉集(を典拠とする案)はどうなのか」と疑問を呈したことも分かっている。

 1989年の前回改元の際も、政府は極秘に作業を進め、1月7日に一気に「平成」を選んだ。しかし、これは昭和天皇が7日朝に逝去するまで「死を前提にした作業」を公にできなかったからだ。今回は憲政史上初の天皇退位に伴う改元で、前回とは事情が異なる。

 菅長官は2日の記者会見で、選定過程が不透明との指摘に対し「元号制定手続に基づいて行っており、批判は当たらない」と反論したが、与党からも「なぜあれほど隠す必要があったのか」(公明党幹部)と疑問の声が出ている。 

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「元号に罪ないが、政治ショー化フェアでない」内田樹氏

■新元号「令和」

 〈思想家の内田樹さん(68)の話〉 令和という元号には政治的なにおいはしない。

 中立的な元号を選んでいただき良かった。中国古典でなく、国内最古の歌集である万葉集を典拠にしたというが、漢詩に万葉集の元となる詩があるという話がすでに中国文学者たちから指摘されている。政権は支持層の国粋主義者の意向に配慮して、中国ではなく、国書に典拠を持つ元号にこだわったが、結局、政治的効果を優先したせいで、学術的検証が十分でなかったということになった。元号そのものに罪はないが、元号という全国民が用いる文化的な制度について、特定の政治勢力に配慮して、冷静で丁寧な学術的検証が省かれたという疑念は拭えない。

 問題は、政権が元号発表を政治ショー化したことだ。首相や官房長官ら現政権側が大量にメディアに露出し、お祭り気分をあおることで、政治的な難問は棚上げされた。「めでたい時にやぼなことを言うなよ」ということなのだろうが、お祭り騒ぎに紛れて、今、日本が直面している諸問題を忘れることは政権担当者には許されないことである。また、統一地方選の最中でありフェアでない。元号のような文化的な制度にこのように露骨に政治的な策略を絡めたことについては、私は元号擁護論者として強い不快感を覚えている。
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「令和」の元ネタは中国の古典なのに…

 新元号「令和」が決まり、出典は国書(日本で書かれた書物)の万葉集だと発表されました。「あれ?」と首をひねった人も多かったでしょう。和書と言いながら、出典とされる部分が大和言葉(やまとことば)ではなく漢文だったからです。狐につままれた気分でいると、午前11時41分の発表からわずか3時間余り後の午後2時55分に、「Twitter」で岩波文庫編集部のツイートが種明かしをしてくれました。

岩波文庫編集部 ‏ @iwabun1927

新元号「令和」の出典、万葉集「初春の令月、気淑しく風和らぐ」ですが、『文選』の句を踏まえていることが、新日本古典文学大系『萬葉集(一)』 https://www.iwanami.co.jp/book/b325128.html の補注に指摘されています。

「「令月」は「仲春令月、時和し気清らかなり」(後漢・張衡「帰田賦・文選巻十五)」とある。」

なんのことはない、「初めて和書を出典とした」と言いながら、実は中国の代表的古典「文選」からの孫引きだったわけで、政府の説明は看板に偽りありです。「出典は文選だが、万葉集にも類似の文章がある」というのが実態で、万葉集を引き合いに出すにしても「文選と万葉集の二つが出典」と言い張るのがせいぜいでしょう。

 私の前回のブログ『新元号 和書出典なら伝統の破壊になる』(3月31日)から、関連する部分を再掲します。

「朝日新聞は『新元号、初めて日本の古典由来に? 漢籍とのダブル説も』(3月19日)という興味深い記事を出しています。この記事には『日本と中国両方の古典にルーツを持つ元号となる可能性も取りざたされている』と書かれています。元号にふさわしい良い意味を持つ言葉は、和書に掲載されていたとしても元々は漢籍から借用してきたケースが多いので、和書から持ってきても漢籍からの孫引きとなってしまうというわけです。」
まさに、この通りになったわけで、朝日新聞の予想が的中したというか、取材が的を射ていたといえそうです。

和歌集である万葉集は、歌の部分は大和言葉(やまとことば)で書かれていますが、令和の出典とされる序文は「どういう状況でこの歌が詠まれたか」を説明する解説で、まったくの漢文です。そして、日本で書かれた漢文が漢籍から表現を借用するのはごく一般的なことです。今風に言えば「パクリではなくリスペクト」で、読み手も「これは張衡の帰田賦だね」なんてニヤリとするわけです。

首をひねらざるを得ないのは、政府が文選の孫引きであることを伏せて「出典は万葉集」だと言い張る理由です。政府は元号案の作成を、国文学、漢文学、日本史学、東洋史学の4分野の複数の専門家に委嘱したとしています。これらの学者らが「原典は文選である」と気付かないことは100%あり得ません。

『文選』は中国の南北朝時代に編纂された詩集ですが、これはもう定番中の定番です。日本で言えば『古今和歌集』くらいメジャーで、高校の教科書に載っているレベルです。元号の出典としても、サンスポの記事『元号のトリビア(4)引用回数』(3月28日)によれば、書経(35回)、易経(27回)に次ぐベスト3(25回)に入っているそうです。有名どころでは、明治の前の元号「慶応」の出典も文選です。

元号案の作成にあたっては綿密な調査をするはずですが、今回は国文学者であれ漢文学者であれ、「ちょっと調べれば分かる」「調べなくても知っている」程度のことではないでしょうか。学者サイドは間違いなく、「文選にこのような表現があり、これを受けて万葉集にもこう書かれています」とか、あるいは「万葉集のこの文章は、文選から引用したものです」等と報告したはずです。

出典が万葉集だと言い張っている理由は良く分かりません。「史上初めて和書から引用した」というレガシーをつくりたかったのか、それとも朝日新聞に見抜かれたのが気に入らないのか…。しかし、素直に考えれば「令和」の出典は、明らかに文選です。

安倍首相は令和について、「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つという意味が込められています」と語っていますが、少々こじつけっぽく思えます。この序文は「大伴旅人の邸宅で宴会を開いたが、季候が良くて風も爽やか、梅はきれいで蘭も香っている。景色も良くて風情もある。酒を飲んで気持ちが通じて、良い宴会だなあ。よし、この気分を表現するために、みんなで歌を詠もうぜ」という程度の文章ですから…。

どうも、安倍首相は今回の元号選定を、個人的なアピールの場と履き違えている気がしてなりません。元号は天皇陛下が定める国民共有の財産で、首相個人や特定内閣の私物ではないのですから、この一連の流れは、いささか見苦しいものでした。
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「令和以外の5つはケチのつけようがない」東大教授が指摘する『令』が抱える3つの問題



 新元号「令和(れいわ)」を決定する過程で、政府が検討した6つの最終案がすべて明らかになった。

 日本の古典に由来する案は3案で、「令和」のほか、日本書紀を出典とする「英弘(えいこう)」、日本古典と中国の詩経を出典とする「広至(こうし)」が検討されていた。また、中国の古典からは「万和(ばんな)」「万保(ばんぽう)」「久化(きゅうか)」の3案が出ていた。

 1日放送のテレビ朝日系『スーパーJチャンネル』に出演した安倍総理は、有識者懇談会では全員が出典を日本の古典にすることで一致し、「令和」を推す声が最も多かったと明らかにした。


 そうしたなか、「『令和』以外の5つはケチのつけようがない」と指摘するのは、歴史学者で東京大学史料編纂所の本郷和人教授。令和の「令」の字に理由があるとして、3つの点を説明する。

 「『令』は上から下に何か『命令』する時に使う字。国民一人ひとりが自発的に活躍するという説明の趣旨とは異なるのではないかというのが、まずひとつ批判の対象にならざるを得ない。

 もうひとつは、『巧言令色鮮し仁』という故事。“口先がうまく、顔色がやわらげて、人を喜ばせ、媚びへつらうことは、仁の心に欠けている”という意味で、この『仁』は儒教で最も大切な概念。今でいう『愛』を意味し、それに一番遠いのが巧言令色だと言っている。そこが引っかかる。


 皇太子殿下は日本中世史の研究者で、当然『令旨』という言葉もご存知だと思う。これは皇太子殿下の命令という意味で、天皇の命令ではない。つまり、『令』という字は皇太子と密接な結びつきがあるもので、天皇の密接な関係があるのは『勅』『宣』などの字。(天皇の生前退位で定める)新元号とは少しずれている」

 本郷氏はこれらを踏まえ、「普通に使うと使役表現となり、中世の人に読ませると『人に命令して仲良くさせる』となる。日本の古典から取ることは何の問題もないと思っているが、どうも自発的な感覚ではなくなってしまう」と改めて述べた。


 これを受けてフリーアナウンサーの柴田阿弥は「決まってしまったものはどうしようもないですし、本郷先生が言うように捉える人がいるだろうということも想像できる。いろいろな意見があって然るべきだし、どんな元号かよりもどんな時代にしていくかの方が大切かもしれない」と意見を述べていた。

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NHK、平日午前中に27・1%…新元号発表生中継の視聴率でトップ

 1日の新元号発表を生中継したNHK特設ニュース(前11時)の瞬間最高視聴率が27・1%を記録したことが2日、分かった。民放5局も生中継する中、同番組の平均視聴率は19・3%を記録し、トップとなった。

 瞬間最高をマークしたのは午前11時41分、菅義偉官房長官(70)が記者会見場で新元号「令和」を発表した場面だった。平日午前中にも関わらず、多くの視聴者が歴史的瞬間を見届けた。同局は1日、連続テレビ小説「なつぞら」終了後の午前8時15分から特別番組を放送するなど、ほぼ半日、新元号関連ニュース一色となった。

 民放の平均視聴率トップは日本テレビ系「every.特別版」(前10時25分)の6・3%。テレビ東京系「昼サテ スペシャル」(前11時13分)は、新元号発表が予定より10分ほど遅れ、急きょ8分間放送を延長したが、0・4%にとどまった。(数字は関東地区、ビデオリサーチ調べ)


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元号は、時代状況により
「オマージュ?インスパイヤ?パロディ?パクリ?」になる?

 
慶応
“慶雲応輝,皇階授木。”
《昭明文選》

明治
“聖人南面而聴天下,向明而治。”
《易経》

大正
“剛中而応,大享以正,天之道也。”
《易経》

昭和
“百姓昭明,協和万邦。”
《尚書》

平成
“父義,母慈,兄友,弟恭,子孝,内平外成。”
《史記》

令和
“初春令月 気淑風和。”
《万葉集》

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「令和」  ロバート・キャンベル(日本文学研究者) VS 東京大学史料編纂所の本郷和人教授 (歴史学者)「(国書か漢籍か、超えた元号)  VS (『令』が抱える3つの問題)」


( 「学者」としての態度は、どちらが、正しいか? 「万葉集」典拠のみに、したことに問題? 国書か漢籍か でなく、「両方」と公表すべきだったのでは?  6つの中では、「令和」という元号を私も選ぶ。 ただ、研究者の姿勢は、どちらが好ましいか? 日本の東洋史、日本の国文学等の見識が疑われる?  )

ロバート・キャンベルさん「国書か漢籍か、超えた元号」

「令和」ぱっと見で「和せしむ」と読み世の中が平和になるよう仕向けること、平和に「させる」心で感心もしたが、万葉集「梅花歌」序の季節感あふれる取り合わせだと分かり再度合点。文選「仲春令月、時和気清」(張衡「帰田賦」)へのオマージュを含めてナイスチョイス。と言って、和せしむもいいなと

 日本文学研究者のロバート・キャンベルさんによると、梅の花は万葉集では120首ほどが題材として詠まれており、「中国で伝統的に歌われる情景だ」という。典拠となった序文は、詩文集「文選(もんぜん)」にある後漢の張衡(ちょうこう)の「帰田賦(きでんのふ)」を「カバー」した可能性があるとし、「後漢の時代の人々に思いを重ね、目の前にある景色を描いたのではないか」と指摘する。

 そのうえで「国書か漢籍かということはどうでもよく、国を超えて共有される言葉の力、イメージを喚起する元号だ。元号が孤立しているものではなく、北東アジア文化圏で共有された情操の世界とつながる言葉だ」と評価する。

 また、万葉集はのちの勅撰(ちょくせん)和歌集と違い、「詠み人の階層や地域性が多様で、人々の素直な声や思いを後の時代に記録している。世界に万葉集の素晴らしさを気付かせるきっかけになるという意味もうれしい」と歓迎した。

 新元号が「令和」と聞いた瞬間には、「令」が使役の助動詞であることから、「和せしむ」と解釈したという。「平和になるよう仕向けようという、ポジティブな言葉だと思った。この解釈も胸にとっておきたい」と話した。
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「初めて為政者のものではない元号」万葉由来の「令和」をロバート・キャンベルが詳しく解説

   1日(2019年4月)、新元号「令和」が発表された。令和は、万葉集にある梅花の歌32首の序文、「初春の令月(れいげつ)にして気淑く風和ぎ(きよくかぜやわらぎ)梅は鏡前(きょうぜん)の粉を披き(ひらき)、蘭は珮後(はいご)の香を薫らす(かおらす)」から取られている。

   安倍首相は談話で「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つ」と令和に込められている意味を語った。

「かめばかむほど味が出るいい言葉だ」


   ロバート・キャンベル(日本文学研究者)がこう絶賛した。

   「日本の最古の歌集からとったということがうれしい。日本人が8世紀に実際にみた風景、体で感じた春の風、光を言葉にしたことを、これからの私たちの時代に重ねたことはすばらしい発想で、高く評価したい」

   梅花の歌32首は、大伴旅人が、太宰府の自邸に九州の役人を呼び、梅見の会を開いたときに詠まれた歌だ。序文にはその状況が書かれている。みんなが集まって、つらい冬を越え、暖かい春を感じた時の素直な気持ちを描いている。「令和」という言葉はこの序文を典拠として作られたホヤホヤの新語だ。

   キャンベル「万葉集の当時の人たちの思いや状況を知ると、かめばかむほど味が出るいい言葉」

   初春とは正月のことで、令月は春分の前後の良い月を意味している。気候は良く白梅が咲き誇り、蘭は高貴な人が身につける匂い袋のような香りを漂わせている。

   キャンベル「これまでの元号は為政者の立場からのものだったが、今回は、春を迎え、花を見るという、誰でもイメージできる喜びを表している。皆が共感でき、日本が発信できるイメージとしてはとてもいい」

   典拠を国書から取るか、漢籍から取るかというポイントも注目されていた。

   キャンベル「万葉集は日本のものだが、梅花の歌序文はそれより600年前、中国の張衡(ちょうこう)の帰田賦(きでんのふ)を元にした、時空を超えたオマージュ。中国の人の思いも取り込んでいると解釈したい。『日本のもの』と感じる必要はない」

   司会の加藤浩次「親近感がわいてきました」

   キャンベル「何かがあってプラスするという、今の時代にふさわしい日本型のイノベーション。総理が言ったように、世界に対してどのようにものを作っていくかという日本そのものの文化の基本線を示している」

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