2016年01月31日
アプリで心停止救え 京大など開発中 京都
アプリで心停止救え 京大など開発中 京都
AED(自動体外式除細動器)の利用を支援するスマートフォン向けアプリケーションの開発を、京都大とIT企業「Coaid(コエイド)」(東京都)、愛知県尾張旭市の3者が進めている。心停止の疑いのある人と周囲のAEDの位置をアプリが使用者に知らせる仕組み。昨年10月から実証実験も始まっており、関係者は「低迷するAEDの使用率の向上につなげ、多くの命を救いたい」と期待を寄せている。
アプリの名称は「AED FR」で、(1)119番通報を受けた消防指令センターが心停止の疑いのある事例発生をアプリ所有者に知らせる(2)駆け付けることが可能なアプリ所有者の端末画面に自分と心停止者、周囲のAEDの各位置が表示される(3)アプリ所有者がAEDを取りに行き、心停止者の元に向かうことをアプリに入力し、情報を共有する―の流れで使用する。
京大健康科学センターの石見拓教授とコエイドが2014年から開発を始め、AEDの利用促進に全市的に取り組む尾張旭市とともに実証実験し、改良を進めていくことにした。
同市の消防職員や消防団員124人がアプリ所有者として参加した昨年の3カ月間の実験では、同市消防本部指令センターから心停止疑いの約30件が通知され、参加者がAEDを持って現場に駆け付けた事例もあった。救急車の方が到着が早く、参加者によるAEDの使用はなかったが、実験は今後も続ける。
総務省消防庁の統計によると、12年に市民が目にした心臓病原因の心停止例は約2万4千件で、うち救急車到着前のAEDの使用例は881件で約3・7%にとどまった。石見教授は「日本には市民が利用できるAEDは35万台以上もあるのに、十分活用できていない。実験でアプリの機能を向上させ、全国に普及させたい」と話している。