2016年10月
2016年10月30日
ゾウの美都、引きこもりから回復 京都市動物園、2年ぶり外へ
ゾウの美都、引きこもりから回復 京都市動物園、2年ぶり外へ
京都市動物園(京都市左京区)で、ゾウ舎の新築に伴う環境の変化で舎内に引きこもっていたアジアゾウの美都(みと)(メス・推定45歳)が、2年ぶりにグラウンドで動き回る姿を見せるようになった。飼育の都合で転居を余儀なくされたため、市民やファンからは心配や園への非難の声も上がっていたが、ようやく元気を取り戻し、飼育員や来園者らは胸をなでおろしている。
美都は1979年から旧ゾウ舎に住んでいたが、ラオスから寄贈された子ゾウの飼育のため建てられた新ゾウ舎に2014年10月、転居した。現存する国内で最も古いゾウ舎として美都が長く過ごした旧舎はその後、解体された。
新ゾウ舎に移った直後から外に出なくなった美都の気持ちを落ち着かせようと、クラシック音楽を流したり、グラウンドに大好物のイモをつるしたりするなど試行錯誤を繰り返したが効果がなかった。今年1月に恐る恐る外に出たこともあったが、一度扉を閉めてゾウ舎に戻れなくしたところ、再び警戒心を強めて引きこもっていたという。
ところが今月18日に突然、美都がグラウンドに出て歩き回るようになった。心配する周囲の気持ちが届いたのか、市民がこの春にゾウ舎の脇に植え、秋に収穫した山盛りのイモもグラウンドで瞬く間に完食。安心できる場所でしか行わない排便も外でするようになり、かつての元気な姿を取り戻した。
同園の獣医師の岡橋要さん(48)は「元気な子ゾウとは対照的にふびんな美都がかわいそうと、批判の声も園に寄せられていた。どういう気持ちの変化で外に出られるようになったのか分からないが、本当に良かった」とホッとした様子。
美都を見に来た会社員の一柳あきさん(38)=北区=は「出られる日がいつ来るのかと心配していた。知能の高い動物がとる行動だけに、私たちもいろいろと考えさせられる」と話していた。
就職内定率60%、19年ぶり高水準 京都府内高校生、9月末
就職内定率60%、19年ぶり高水準 京都府内高校生、9月末
来春卒業を予定する京都府内の高校生の就職内定率が9月末時点で60・2%(前年同月比4・9ポイント増)と、1998年以来19年ぶりの高水準になったことがこのほど、京都労働局の調査で分かった。同局は人手不足や女性採用の増加などが背景にあるとみている。
高校生に対する求人倍率も2・55倍と前年同月より0・11ポイント増え、調査を始めた96年以来最高となった。特に人手不足が著しい製造業や運輸業・郵便業などの求人が目立った。女性の内定率の伸び(7・3ポイント増)が男性(3・3ポイント増)を上回り、女性採用に対する企業の意欲が強まっていることをうかがわせた。
一方、来春卒業の大学生の今月1日現在の就職内定率も60・2%(前年同月比7・9ポイント増)で、調査を開始した2010年以来最高となった。就職希望者は2万5661人で内定者は1万5459人で、未内定者は1万202人。
同局は「大卒者の確保が難しく、高校生を採用して育てようとする中小企業が増えている」としている。
近畿で木枯らし1号、週明け以降、気温低く
近畿で木枯らし1号、週明け以降、気温低く
大阪管区気象台は29日、近畿地方で「木枯らし1号」が吹いたと発表した。昨年に比べ4日遅かった。京滋でも冬型の気圧配置に覆われ、北風が吹き抜けた。
京都地方気象台によると、京都市で29日午前9時50分ごろ、最大瞬間風速8・6メートルを観測。舞鶴市では、17・2メートルの北の風を記録した。彦根地方気象台によると、彦根市で29日午前3時40分ごろ、13・2メートルの北西の風が吹いた。
冬型の気圧配置は29日をピークに緩むが、週明け以降は気温の低い日が続くという。
2016年10月29日
京都 特別拝観 北野天満宮 大覚寺 清凉寺 平岡八幡宮 青蓮院門跡
京都 特別拝観 北野天満宮 大覚寺 清凉寺 平岡八幡宮 青蓮院門跡
北野天満宮の特別拝観で樹齢400年の三叉の紅葉を楽しむ
菅原道真公を祀る全国約1万2000社の天満宮、天神社の総本社が北野天満宮。慶長12(1607)年に造営された国宝である社殿、日・月・星の彫刻がある重要文化財の三光門、同じく重要文化財の東門など、歴史的価値のある建築物のほかにも、古くから伝わる「天神さんの七不思議」など、見どころが豊富にそろっている。
■ <秋の特別拝観>秀吉が築いた土塁、御土居のもみじ苑をライトアップ
2016年11月12日(土)-12月4日(日)の期間、もみじ苑ライトアップ・境内夜間特別拝観を開催。洛中洛外の境界に加え、水防のために豊臣秀吉が築いた土塁、御土居のもみじ苑をライトアップ。展望所からの紅葉の合間に見える本殿、樹齢400年の三叉の紅葉など、この時期だけの美しい景観を見ることができる。さらに、北野天満宮に所蔵されている貴重な刀や狛犬などが公開される、「宝物殿特別公開 狛犬と宝刀展III」も開催。
夜は、国宝に指定されている八棟造りの本殿と紅葉ライトアッフ?の絶景が楽しめる。
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暗闇に浮かび上がる幻想的な宝塔!大覚寺の夜間特別拝観
いけばな発祥の地、そして般若心経の根本道場としても知られる大覚寺。前身である離宮嵯峨院から貞観18(876)年に、現在の大覚寺となった。廊下、広縁がすべてうぐいす張りの宸殿、江戸時代中期に創建された本堂・五大堂、正面と背面に軒唐破風を付けた勅使門など、貴重な建造物を多数見ることができる。日本最古の人工池、大沢の池では、時代劇のロケなども行われる。
■ <秋の特別拝観>幻想的な景観を堪能できる夜のライトアップ
2016年11月11日(金)-12月4日(日)に、夜間特別拝観「真紅の水鏡」を開催。夜間特別拝観は、本堂と大沢池周辺をやわらかな光で照らし出され、色づいた紅葉や暗闇に浮かび上がる宝塔などは必見。重要文化財の五大明王像や愛染明王坐像などが見られる、特別名宝展も12月5日(月)まで行われる。【
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国宝に指定の阿弥陀三尊像も!清凉寺の霊宝館を特別公開
嵯峨釈迦堂の名でも知られる清凉寺は、源氏物語のなかで、光源氏が造営した「嵯峨の御堂」に目される寺院としても有名。京都府指定文化財である仁王門は、天明4(1784)年に上棟され、“嵯峨野の顔”とも言われている。造りは、和様と禅宗様を合わせたもの。二階二重門で、十六羅漢像などが祀られている。本堂は元禄14(1701)年に上棟。紅葉の時期、本堂から眺める川中島や弁天堂の美しさは格別。
■ <秋の特別公開>釈迦如来像から発見された胎内納品など公開
2016年10月1日(土)-11月30日(水)の期間、「清凉寺 霊宝館 秋期特別公開」を開催。境内にある霊宝館で、国宝に指定されている本尊の釈迦如来像胎内納品、阿弥陀三尊像などを見ることができる。
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平岡八幡宮で44種の花が描かれた“花の天井”を公開
弘法大師が神護寺の守護神として、自ら書いた僧形八幡神像をご神体に、大同4年(809年)創建した平岡八幡宮(京都市右京区)。1407年に消失した本殿を、足利義満が再建。現在の社殿は1826年に修復されたもので、花が描かれた本殿天井の「花の天井」も有名だ。境内では樹齢300年以上の椿を見ることもでき、11月中頃から見ごろを迎える“高雄もみじ”も見逃せない。
■ <秋の特別拝観>高雄もみじも描かれる花の天井を公開
2016年9月4日(日)-12月4日(日)に開催される、「花の天井 秋の特別拝観」。毎年春と秋の2回公開される、44種類の花が描かれた花天井は、70センチ四方の格子44枚には紫陽花、あやめなどが美しく描かれている。
なかには、境内の参道で美しい姿を見せてくれる、高雄もみじも描かれている。【
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庭園が幻想的な青に浮かぶ!青蓮院門跡の夜の特別拝観
相阿弥作の池泉回遊式庭園など、優れた庭園で知られる門跡寺院の青蓮院門跡。江戸時代、大火で御所が炎上した際には、仮御所として使用された。また、粟田御所とも呼ばれ、国の史跡にもなっている。親鸞聖人お手植えとされる境内にある5本の楠の大木は、京都市の天然記念物にも指定されている。庭園は粟田山を借景にした池泉回遊式で、相阿弥作と言われている。
■ <秋の特別拝観>1000の照明に照らされる夜の別世界!
2016年10月28日(金)-12月4日(日)の期間に、秋の恒例となっている夜の特別拝観を開催。ご本尊は光そのものである熾盛光如来、その化身の不動明王も炎の光を背負っているなど、光に関係が深い青蓮院門跡だからこそのライトアップが楽しめる。1000に及ぶ照明で浮かび上がる庭園や、天然記念物の楠の木など、その姿は幻想的であり、荘厳。夜を染める一条の光が、見る者の心を捉える。
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紅葉散歩で立ち寄りたい!京都・河原町周辺の古き良きカフェ3選
紅葉散歩で立ち寄りたい!京都・河原町周辺の古き良きカフェ3選
高台寺や清水寺など、京都屈指の紅葉スポットの、行き帰りにアクセスしやすい河原町付近には、近代日本の歴史を物語る純喫茶が集中している。この秋、紅葉散策のお供に、京都の古き良き空間で、“ゆったり、まったり”な極上タイムが過ごせる店を、編集部が厳選して紹介。
■ 歴史が詰まったロマンチック洋館で高貴なひと時を!
東山の麓、円山公園に威風堂々とそびえる「デザートカフェ 長楽館」は、明治42(1909)年に“煙草王”と呼ばれた実業家村井吉兵が、国内外の賓客をもてなすための迎賓館として建築。
100余年の歴史の中で、大隈重信や山県有朋に、西園寺公望ら多くの偉人が、語らい煙草をくゆらせていたという館内は、ルネサンス風の広間、ロココ調にネオクラシックやアールヌーボなど、多彩な建築様式が混在。建物だけではなく多くの家具調度品が、京都市有形文化財の指定を受けているのも納得の風格に圧倒されそう。
デザートカフェ 長楽館の“貴婦人の間”と呼ばれる部屋では、バラの形に絞り出されたクリームを乗せたウインナーコーヒーや自家製ケーキが楽しめ、またロココ様式の迎賓の間では、名物の「アフタヌーンティー」(4000円※要予約)を、優雅に味わえる。
コーヒーやデザイートが楽しめる貴婦人の間。円山公園の美しい眺望やピアノの生演奏(1日6回)も楽しめる。
通称“薔薇コーヒー”と呼ばれる、何ともフォトジェニックな「ウインナーコーヒ」(1000円)。
アフタヌーンティーが楽しめる迎賓の間。部屋は全部で8種あり、全て趣きが違う。同じ館内にある、イタリアンレストランのコーラルでは、近隣産のフレッシュな食材を駆使した、本格イタリアン(ランチコース4514円?)が味わえる。
■ 昭和23年創業、ブルーに彩られた色香漂うロマンス喫茶
東山方面から四条大橋を渡り木屋町通を越え、高瀬川が目の前に流れる路地へ。「喫茶ソワレ」は、繁華街の真ん中にありながら、その様子は他の居並ぶビルとは一線を画すノスタルジックな佇まい。
幻想的なブルーのライトに照らし出された店内には、当時の常連であったという、東郷青児の手によるハイカラな美人画、重厚な雰囲気を醸すブドウ模様のレリーフ、ステンドグラスのランプ。歌人や画家などが集まっていたというのも大納得のロマンティックで独特の色香が漂う空間に、喫茶店価格で身を置ける贅沢さを噛み締めたい。
宝石のようにきらめく5色の自家製ゼリーと、爽やかな炭酸ソーダを合わせた「ゼリーポンチ」(650円)は、30年以上出している名物メニュー。
店表の歌碑は、舞妓さんと共によく訪れていたという歌人、吉井勇によるもの。看板の女性の絵は、画家の東郷青児作。
■ 近代日本の歴史をエレガントに包みこむ、サロン的空間
高瀬川沿いに風格のある建物が並ぶ一角にあるのは、創業から約80年という「フランソア喫茶室」。イタリアンバロック様式の店内は、白いドーム状の天井に著名な絵画の複製が飾られた漆喰仕上げの壁、窓にカラフルなステンドグラスと、気品あふれる雰囲気にうっとり。
実はこちら、治安維持法のもと、自由な論争が許されなかった第二次世界大戦下に、リベラルな論調で知られた新聞、土曜日の拠点でもあり、当時は、中井正一を始めとした、社会運動家や思想家が足繁く通っていたという歴史がある。
パティシエでもある、3代目が作る味わい豊かな自家製ケーキと香り高いコーヒー、そして、近代日本の歴史に思いを馳せる、優雅なティータイムを楽しみたい。
フレッシュクリームたっぷりの「コーヒー」(600円)は、コーヒーが苦手だったという俳優、宇野重吉のために2代目店主が考案。写真奥は人気の「レアチーズケーキ」(550円)
自家製ケーキは約20種。どっしりとした甘味とレモン果汁の爽やかな余韻がたまらない、写真の「レモンのタルト」(450円)や、「ザッハトルテ」(750円)も人気。
京都 世界遺産・二条城でスーパーカーの展覧会
京都 世界遺産・二条城でスーパーカーの展覧会
京都市の二条城では、普段入ることができない二の丸御殿の中庭などを舞台に、世界の名車を見ることができる展覧会が、28日から開かれています。
1960年代から2000年代までのスーパーカーやレーシングカーなど、28種類の世界的な名車と4種類のオートバイが展示されています。この催しは12月11日まで二条城で開催されます。
愁いをたたえた乙女、優雅に 京都でローランサン展
愁いをたたえた乙女、優雅に 京都でローランサン展
「没後60年 マリー・ローランサン展」(京都新聞など主催)が28日、京都市下京区の美術館「えき」KYOTOで始まり、来場者は、柔らかな色調で表現された女性像に魅了された。
1883年、芸術の都パリに生まれたローランサンは、ピカソやブラックら最先端の芸術家と交流する中、独自の画風を培った。同展は、直線と曲線で構成するキュビスム風の初期から晩年の名品まで計81点を紹介する。
描かれるのは、当時流行したファッションで着飾った貴婦人、愁いをたたえた乙女、花や楽器を携えて寄り添う女性たちのほか、ピカソや親しい人の肖像など。初日のギャラリートークには大勢のファンが訪れ、絵画が醸し出す優雅な空気を楽しんでいた。11月27日まで。有料。
ナポリタン西の名店 「おかず」にライス注文する人も 関西(京都 神戸)
ナポリタン西の名店 「おかず」にライス注文する人も 関西(京都 神戸)
懐かしいけど新しいケチャップ味の幸福──それが哀愁の「ナポリタン」だ。ここでは関西のナポリタンの名店を2店紹介しよう。
●イノダコーヒー本店──京都市・中京区
京都で有名な老舗珈琲店で、月間約500皿も売れる大好評メニュー。50年前から2.2ミリの極太麺にこだわり、保温力のある蓋付きの銀皿には、もっちりした麺とトマトの酸味がきいたスパゲティがたっぷり。具はドイツの伝統製法を引き継いだハム、玉ねぎ、ピーマン、マッシュルームとシンプル。昔懐かしさを覚える味は、一口、もう一口といつの間にか完食だ。
【住所】京都市中京区堺町通三条下ル道祐町140
●グリル一平元町店──神戸市・元町
1952年創業の老舗洋食店のスパゲティは、当時では珍しかった鉄板で提供。2ミリの太麺と具材を淡路産の玉ねぎを使った自家製レッドソースで手早く炒める。仕上げに店自慢のデミグラスソースと生卵、パルメザンチーズをたっぷりかける。トマトケチャップとデミグラスソースがミックスされるので、味は濃厚。これを「おかず」にライスを注文する人も多い。
【住所】神戸市中央区元町通2-5-6
ぬぐえぬ不安、住民が夜間巡回 京都・伏見、男性殺害から1ヵ月
ぬぐえぬ不安、住民が夜間巡回 京都・伏見、男性殺害から1ヵ月
京都市伏見区桃山町日向の路上で、近くの理髪業渡邊直樹さん(46)が刃物で刺殺された事件は28日で1カ月を迎える。京都府警捜査本部(伏見署)は、交友関係を中心に聞き込みなど捜査を続けているが犯人に結びつく有力な手がかりは得られていないという。「平穏な日常に戻ってほしい」。地元の学校や住民は、事件の早期解決を願い、登下校時の子どもの見守りや夜間巡回を続けている。
渡邊さんは9月28日午前0時すぎ、府営小栗栖西団地5棟東側で、胸から血を流して倒れているところを発見された。首や胸などに鋭利な刃物による刺し傷などが数十カ所確認された。渡邊さんが乗っていたとみられる乗用車は、通報から約30分後に大津市内で全焼。府警は車を押収し、関連を調べている。
団地や民家が並ぶ現場は夜間は静かで人通りが少ない。遺体の傷痕からは犯人の粗暴な一面も浮かぶ。団地の金沢弘さん(78)は「犯人が捕まっていないので、夜に外に出るのは怖い」と話す。
住民の不安がぬぐえない中、小栗栖学区のボランティア「こどもみまもり隊」の小松勝代表(73)は事件後、夜間の地域巡回をしている。ほぼ毎夜、バイクで団地周辺の路地や駐車場、空き地を巡って不審者がいないか警戒しており、「早く犯人が見つかってほしい」と願う。
事件現場近くの小栗栖宮山小は児童に集団下校を呼び掛け、放課後は教職員が通学路を見回るようにしている。同小は「児童がいつも通り安心して過ごせるよう見守りを続けたい」としている。
伝統産業と家電コラボ、いいかも! パナが試作、京都で公開
伝統産業と家電コラボ、いいかも! パナが試作、京都で公開
京都の若手職人グループ「GO ON」とパナソニックが、伝統工芸と先端技術を融合させた新たな家電を試作し、京都市下京区の町家で28日公開した。西陣織をあしらったスピーカーや京金網の技法で製作した香炉など、手仕事ならではのデザイン性と高機能を両立させた。パナソニックは今回の成果を商品開発に生かす考え。
日本の伝統的なものづくりを家電のデザインに生かすプロジェクト「京都家電ラボ」の一環。「GO ON」のメンバーとパナソニックの家電デザイナーが昨年11月から1年間かけて開発した。
西陣織の細尾(上京区)は、スピーカーのカバーを手がけた。金属箔(はく)を貼った和紙の糸を織り込み、表面に触れるとスピーカーに電流を通して音楽が流れる仕掛けにした。
竹芸品の公長齋小菅(中京区)は発光ダイオード(LED)を仕込んだ竹編みの照明器具を製作。金網つじ(北区)の網香炉は持ち上げるとセンサーが作動して香りが漂う。
茶筒の開化堂(下京区)は、茶筒型のワイヤレススピーカーを開発。ふたを外す時に手のひらにじんわり伝わる音楽の振動を楽しむ。中川木工芸(左京区)の比良工房(大津市)は、電磁誘導加熱(IH)による給電で野菜や酒を冷やせる木おけを製造した。窯元の朝日焼(宇治市)もIHで加熱できる茶道具の湯盤を披露した。
金網つじの辻徹さん(35)は「家電メーカーも使い手のことを考えて商品を開発しているが、それがちゃんと伝わっているとは言い難い。伝統工芸技術をうまく取り込めば、家電がもっと楽しくなる」と手応えを語った。
試作品は非売。招待客向けに29-31日に展示会を開くほか、11月から東京で一般公開する。
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京都の伝統工芸を家電に、パナソニックと合作
日本を代表する家電メーカー「パナソニック」が、西陣織や木桶など京都の「伝統工芸」を受け継ぐクリエイティブユニット・GO ON(ゴオン)とコラボ。人の五感や記憶に響く新たな家電を開発し、28日にはそのプロトタイプの発表会が京都市内で行われた。
伝統工芸を技と素材に解体し、まったく新しい「モノづくり」を推進することを目的に、手作り茶筒の「開化堂」、京指物の「中川木工芸」、竹工芸の「公長齋小菅」、茶陶の「朝日焼」、西陣織の「細尾」、京金網の「金網つじ」という6社の若手後継者で、2012年に結成されたGO ON。今回、「パナソニック」のデザインチームと約1年にわたり、試行錯誤しながらそれぞれが新たな家電を開発した。
蓋の開閉に合わせて音が鳴り、音の振動を手のひらで感じることができる新感覚のコンパクトスピーカーや、IHの非接触給電を使用して、川の流れのごとく野菜や果物を冷やす木桶、竹の編みが生み出す自然なリズムの陰と光を楽しむLEDペンダントライト、生地に手が触れると、そこに織り込まれた金銀箔がセンサーとなり音を奏でるスピーカー式間仕切りなど、人が生活することの豊かさを見つめ直して誕生した家電が並んだ。
「開化堂」取締役の八木隆裕さんと「パナソニック」の中川仁さんは、今回のプロジェクトについて「工芸品は10年、20年と、使えば使うほど味が出て価値があがるという、家電にはない魅力がある。使い込んで、お子さん、お孫さんと次の代にも伝えて使っていただきたい。また、量産によって味気なくなった音楽や照明などを見直すきっかけになれば」と話す。商品の一般発売は未定。
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